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秋の展覧会

2023116日(月)

「日本画聖地巡礼」

「芸術の秋」を迎え、都内の美術館で開催中の展覧会を紹介します。渋谷区にある「山種美術館」では、特別展「日本画聖地巡礼―東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門―」が開催されています。画家達が訪れ、作品を描いた場所を“聖地”として、写真と共に絵画を紹介する展覧会です。日本画の巨匠・奥村土牛(おくむら・とぎゅう)の「鳴門」は、鳴門海峡の渦潮を描いた作品。船から渦潮を目の当たりにした土牛は、描きたい衝動にかられ、その場でスケッチを始めたというエピソードがあります。何十回と塗りを重ね、緑がかった独特の色彩で鳴門海峡の荒々しさを表現しています。速水御舟(はやみ・ぎょしゅう)の「名樹散椿(めいじゅちりつばき)」は、豊臣秀吉の寄進と伝わる京都・地蔵院の椿を描いた作品。国の重要文化財に指定されています。
東山魁夷(ひがしやま・かいい)の「年暮る(としくる)」は、大晦日に雪の降る京都の街並みを青色で静謐に描いた1968年の作品です。現在の風景写真と比べてみると、寺が変わらずに残っているのが印象的です。
会期:11月26日(日)まで
HP:https://www.yamatane-museum.jp/exh/2023/NihongaPilgrimage.html
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2023117日(火)

「装飾の庭」

港区にある「東京都庭園美術館」で、開館40周年を記念して開催されている企画展「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」を紹介します。東京都庭園美術館は、90年前に建てられたアール・デコ様式で名高い朝香宮(あさかのみや)邸を活用し、1983年に開館しました。この美術館は、建物の中にも庭園の風景が広がるようにデザインされています。展覧会の起点となるのは、森や滝が四面の壁に描かれた「小客室」。描いたのは、朝香宮邸7室の内装デザインを担当したフランス人装飾美術家、アンリ・ラパンです。緑の濃淡で表現された壁画は、室内に居ながら自然の中にいるような心地よさを演出しています。水の流れは、続く部屋でラパンがデザインした室内用噴水器へと繋がり、さらに泉や植物のある庭園が描かれた「大客室」へ。終着点は、泉を描いた壁画がある「大食堂」です。
“庭園の画家”と呼ばれた20世紀初頭の画家、レイモン・シャルメゾンの作品も展示されています。庭だけをテーマにし、シャルメゾン独自の空想を織り交ぜた色鮮やかな作品の数々を楽しむことが出来ます。
東京都庭園美術館「装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」
会期:12月10日(日)まで
HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/230923-1210_artdecogarden/
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2023118日(水)

「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり展」

文京区にある「弥生美術館」で開催中の「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」展を紹介します。
銘仙(めいせん)とは、大正から昭和初期にかけて大流行した絹織物のこと。銘仙蒐集(しゅうしゅう)家・桐生正子(きりゅう・まさこ)さんが所有する約600点のコレクションから厳選した着物を展示しています。それまでになかった斬新な色や柄が特徴で、当時、女子学生の通学着にも採用されました。「春花文様単衣(しゅんかもんようひとえ)」(1931〜1940年)は、アヤメやチューリップなど日本と西洋の花が何種類も描かれていて、当時の西洋への憧れがうかがわれる作品。細かい柄と色の多さが特徴です。柄は型紙を使って染めています。型紙は色の数だけ必要で、色が増えれば型紙も染める回数も増えるため、手間のかかる作業となります。幾何学的な柄が印象的な銘仙「赤・黒・白の横段に立涌(たてわく)文様」(1930〜1935年)は、日本の伝統的な“立涌文様”と“横段文様”に、20世紀初頭のロシアの芸術運動で流行した赤、黒、白の三色を組み合わせています。昭和30年代の「仔猫とスピッツ文様」は、当時大人気だったスピッツが柄に採用されており、銘仙が時代を物語っているのがわかります。
弥生美術館「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」展
会期:12月24日(日)まで
HP:https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
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2023119日(木)

「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」

港区にある「パナソニック汐留美術館」で開催中の「開館20周年記念展 コスチュームジュエリー 美の変革者たち」を紹介します。1910年代のフランスで誕生したといわれる“コスチュームジュエリー”は、貴金属や宝石を用いずに作られた装身具のことです。ガラスや合金など、様々な素材を使用し、ドレスの装いを引き立たせるアイテムとして重宝されました。フランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレがデザインした「夜会用マスク・ブレスレット“深海”」は、深海がテーマの作品。タコをモチーフにしたマスクは、濃淡のある青いビーズを、透明のガラスビーズで取り囲むようにデザインされている非常に繊細な作品です。有名なフランス人デザイナー、ココ・シャネルは、コスチュームジュエリーを普及させた立役者です。シャネルは、女性に裕福な雰囲気を纏わせるためではなく、美しくするためにコスチュームジュエリーを作ったのだと語ったそうです。エナメルガラスやメタルなどを用いた優美なシャネルの作品がいくつも展示されています。自由なデザインで個性を表現するアイテムとして支持を集めたコスチュームジュエリー。ネックレスの素材にコルクのビーズや木の実などを使い、さらにユニークに進化したアメリカの作品も紹介されています。
パナソニック汐留美術館
「開館20周年記念展 コスチュームジュエリー 美の変革者たち
 シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより」
会期:12月17日(日)まで
HP:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/23/231007/
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20231110日(金)

「いわさきちひろ やさしさと美しさと」

練馬区にある「ちひろ美術館・東京」で開催中の「いわさきちひろ やさしさと美しさと」を紹介します。
子どもを生涯のテーマにした絵本画家、いわさきちひろは、柔らかいタッチで描かれた水彩画で知られています。展覧会では、絵本「ゆきのひのたんじょうび」が紹介されています。“ちいちゃん”というかわいい女の子が、自分の誕生日の朝に雪が降ることを願っているストーリーです。最後の場面として描かれた、赤い帽子と手袋を身に着けたちいちゃんの絵は、ちひろの代表的な作品のひとつです。いわさきちひろは、子ども時代の情景を、季節の花や自然と共に描いた作品を多く発表しています。“ゆびきりをする子ども”は、子ども達の約束を秋の草花が見守っているような構図で描かれた作品です。ちひろの作品に登場する「母親」は、ふんわりと後ろでひとつにまとめたヘアスタイルで描かれていますが、これは、ちひろの母・文江さんの髪型と同じです。自分の母親のイメージを重ねて描いたのかもしれないと言われています。
ちひろ美術館・東京「いわさきちひろ やさしさと美しさと」
会期:2024年1月14日(日)まで
HP:https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/76631/
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