
東国原知事は、先月、北川正恭・前三重県知事らとともに自民党や民主党にものを言う政策提言集団、「せんたく」を立ち上げました。「地方を変えるには国を変えないと…」という東国原知事。
■国民のギモン:やっぱり、国会議員を目指しますか?
<知事の答え> 「地方行政とか地方自治っていうのは、地方と国が両輪でやっていかないといけないんです。これは国も変っていかなければいけないし、地方も変っていかないといけない。ですから、国政にも興味はあります。地方から見た国政…国が変ってくれないと地方が変らないものですから。国から、補助金とか地方交付税交付金っていって、お金をもらってる部分もいっぱいあるんですよ。そういうところも見直してもらわないといけないので、だから『せんたく』を立ち上げさせてもらったんです。『いまのままじゃいかんやろ』っていうのは、多分国民のみなさん、ほとんど思ってると思うんですよ。でも、国会議員っていうのは衆議院が480で参議院が252。その732分の1になるかな、っていうのは自分では疑問ですね。国を変えるために、違う形の国の変え方っていうのがあるんじゃないかな、って。国会議員1年生から始まって、(閣僚になれるまで)20年、30年待って、その間、国がいつまでも変らないですよね。ここにスパーッと大ナタを振るうためには、何か他の方法がないのかな、っていうのは考えたりしています」。

2007年1月23日、初登庁の日。東国原知事が就任挨拶で県庁職員にこう呼びかけました。「裏金はありませんね!」と。ところが、知事の呼びかけもむなしく、宮崎県庁で3億7000万円もの裏金の不正経理が発覚。そして、知事のシールがプリントされた宮崎県産ブロイラーの炭火焼商品が地鶏と不当表示されていたことが発覚。さらに先月には、宮崎県庁前での全裸写真を撮影するという公然猥褻事件が発生! 「宮崎を盛り上げようと思ってやった」という犯行の動機に対して知事は、「間違いです!足を引っ張るような真似は止めてほしい!」と厳しい態度を示しました。そして、知事が行う「定例記者会見」を続けるかどうかをめぐって、記者たちと激しくやりあうということもありました。
■国民のギモン:知事になって一番怒りを感じたことは何ですか?
<知事の答え> 「宮崎県は、農業供給県なんです。基幹産業が農業なんですね。それを大事にするために、僕は県産品を売らせてもらっているんですね。農業を元気にするために。その中で、去年あったうなぎの産地偽装。ああいうのがあると、もうガッカリするんですよ。『足を引っ張るのもいい加減にしてくれ!』って思うんですよ。あれは、怒りを通り越して、情けなかった。それも、県の業者がやっていましたからね。『いまこういうときに、なんちゅうことしてくれんねん!』って感じでしたね。で、宮崎県が注目されているだけに、被害も大きいんですね。ダメージも大きい。ホントに止めてください、もう。(「細かいことで県庁の方をちょっと怒ったりすることはありますか?」と香取編集長に聞かれて)それはないですね。意見が違うな、って思うことはありますけどけど…」。

知事選では2位に7万票もの大差を付けての、まさに圧勝だった、東国原知事。選挙戦最終日、最後の演説は空前の熱狂に包まれました。心から宮崎を思う、東国原さんの訴えが宮崎県民の心を動かしたのです。しかし、実は選挙戦初日の街頭演説では、支持者であふれかえった対立候補に対し、東国原さんの演説を聴こうとする人はほとんどおらず、無視されることも珍しくはなかったのです。
■国民のギモン:宮崎県知事選で落選していたら、今、何をしていましたか?
<知事の答え> 「おそらく宮崎で、LPOとかNGOとかで…僕、農業法人を立ち上げようと3、4年前からうやってたので、多分、それを立ち上げてたと思います。(芸能界復帰は)なかったですね。いまでもないです。大学中途退学したんで大学に戻ろうとか、評論家とかそういうジャーナリズムなところはありかな、とは思いますけど、芸人としてはないですね。(「もし落選して、他のことをやったとしても、次の選挙にもう一度?」と香取編集長に聞かれて)そうですね。それはあったと思います。ですから、農業法人でもやりながら、宮崎のことをもうちょっと政治行脚して、そして次に、という感じだったでしょうね」。

知事就任から今日で389日。その間、休みはわずか1日。その貴重な休みも人間ドックを受けることに費やされました。朝、登庁してから家に戻るまで、どこにいくにも常にテレビカメラが付きまとい、ろくに食事をとることもできないほどの過密スケジュールを送る知事。
■知事になってガマンしてることはありますか?
<知事の答え> 「やっぱり、走れないことかな。休憩時間とか…。就任する前は、週に4日、5日くらいは走ってたんです。10キロ~15キロ。でもいまは、走れても週に1、2回。(「コンビニに行ったりすることは?」と香取編集長に聞かれて)いきますけど、最近、握手とか写真とかで他のお客さんの迷惑になったりするので、ちょっと行きづらいかな。(飲みに)外は行きません。宮崎だと、噂がバーっと立ってしまうんで。島田洋七師匠が宮崎に公演にこられたときに、夜ご飯を食べた後に、1軒だけ行ったんです、女性がいるところ。もの凄い噂になりましたからね.県庁内で『知事はあそこの店が御用達なんですか?』『あそこのさくらちゃんっていう女の子が好きなんですか?』って。話も何もしてないですよ。だから、これは行けないな、って」。

「宮崎のセールスマン」を自認する東国原知事は、テレビに出演するたび宮崎の特産品や観光地を欠かさずPR。東国原知事の出現で宮崎県庁は観光名所となり、就任1年でなんと29万人もの人が訪れ、県庁横の物産館では、地鶏の売り上げが前年の14倍を記録。ほか、すべての商品で売り上げは6倍に。宮崎牛、マンゴー、地鶏はすっかり全国のブランドとなりました。
■国民のギモン:宮崎の名産品で次のブームを狙っているものは何ですか?
<知事の答え> 「(「宮崎ブランド品のネーミングは誰が決めているんですか?」と香取編集長に聞かれて)僕だったり、公募で決めたりしています。いまイチオシは、県のブランド産品・完熟キンカンたまたま。略すとたいへんなことになります(笑)。これは、数があまりないんですね。というのは、糖度18度以上で、大きさが3センチ以上っていう規定があるんですよ。丸かじりでガブっと食べていただけるんですけど、ビタミンCが豊富なので、カゼの予防にもいいんです。1月18日、初セリで…まあ、僕が宣伝した悪影響の方なんですが…1キロが3万1000円。ひと粒840円という値段が東京でついたんです。高いですよ。買っちゃダメですよ(笑)。いまは600円くらいで安定してきてるんですけど…。もうひとつが、ズッキーニ。これも生産高が日本一なんです。名前をいま考えている最中なんですよ。『知事、つけてください』って言われたんで、僕は『君にズッキーニ』って提案したんですけど(笑)」。

1982年のデビュー以来、芸人として25年もの間活動した「そのまんま東」。特に、たけし軍団のリーダーとして「体を張った笑い」で大人気を博したことで、数々の厳しい現場をこなしていました。
■国民のギモン:芸人時代の経験は知事の仕事に活かされてますか?
<知事の答え> 「活かされていませんね。体力的なことはあるかもしれないですね。あとは、お客さんとの対話には活かされていますね。政治とか行政の話をしているとだんだん、退屈してくるのがわかるんですよ。そういうときには、話の内容を変えて、面白い話をして目を覚ますんです。そういうような技術は、芸人時代に培ったものかなって。あとは、空気を読むってことも。議会なんかでも、『これはちょっとまずいなぁ』とか、『今、ツッコんだらいいのになぁ』とかね」

「将来の夢は芸人と政治家」。小学校の卒業文集にそう書いていた東国原知事。大学進学と同時に上京、そこでひとりの天才との出会いを果たします。大学2年の秋、何の気なしに出かけた寄席。その前座のなかに「ツービート」という漫才コンビがいたのです。初めてそのコンビを目の当たりにして、若き日の東国原さんは言葉を無くしたといいます。「天才だ…」と。そして、1982年に憧れのビートたけしさんに弟子入り。一番弟子となりました。「そのまんま東」という芸名をもらい、2番弟子の大森うたえもんさんとコンビ「ツーツーレロレロ」を結成、デビューを果たします。1983年には、たけし軍団を結成すると、1番弟子の東さんはそのリーダー格に。そして瞬く間に人気芸人の仲間入りをするのです。
■国民のギモン:今でもたけしさんと連絡は取っていますか?
<知事の答え> 「これといった連絡は取っていません。ただ、県産品で旬な物が出ると、必ず師匠のところには送っています。あとは、番組とか雑誌の対談とかで、月に一回くらいは会ってますので、そのときにお話をさせてもらっています。(「その後に、一緒に食事に行ったりは?」という香取編集長の質問に)それは、就任してからないです。というのも、次の番組があるものですから。でも、失礼ですよね。師匠の番組から途中で帰るなんて。もちろん、時間があれば、食事でもご一緒したいですね。話したいこともいっぱいありますんで。最近、師匠は好々爺になっちゃってるんで、僕にも話したいことがあるみたいなんですよね。あと、僕、野球のチームを作ったので、今度会ったら、野球の試合しませんかと言ってみます」

1982年、師匠・ビートたけしのもとに弟子入りし、デビューを果たした「そのまんま東」。人気芸人として華々しい活躍を見せる一方で、身辺にスキャンダルが絶えることもありませんでした。1986年12月9日には、『フライデー襲撃事件』に加わり、現行犯逮捕。以降、「そのまんま東」は半年もの間、テレビから姿を消すことになります。1997年1月には、「態度が悪い」とおとうと弟子を足蹴にしたとして書類送検、罰金10万円を課せられています。さらに、1998年には少女が働く風俗店でサービスを受けたとして1年半近くにわたり自主謹慎をしました。また、仕事だけでなく、家庭生活も波乱に満ちています。『フライデー襲撃事件』の翌年、1989年に最初の妻と離婚。その3年後、ドラマの共演がきかっけで女優のかとうかず子さんと結婚。その後、夫・東さんが数々の不祥事を起こすも、妻・かず子さんは「離婚」という言葉は決して出さなかったといいます。ところが、2006年、あることが原因でついに破局を迎えることに…。それが、「政治家への転身」です。
■国民のギモン:これまでの人生で後悔していることはありますか?
<知事の答え> 「あえて言うなら、離婚ですからね。最近、ズシンと来てますね。1週間くらい前に、都内で元のかみさんのかとうかず子さんとバッタリ会ったんです。元のかみさんが、番組のロケを歩きながらしていたんですよ。黒山の人だかりがあったので邪魔にならないように見てみたら、彼女なんですよ! 就任して、離婚して初めてですよ、会ったのは。もう、音楽が流れてきましたね。(「その音楽は?」という香取編集長の質問に歌いながら)」『東京ラブストーリー』のテーマ曲でした! 私、スローモーションになりましたよ。向こうもビックリしてましたね。そしたら、向こうのロケのカメラが私を映すんですよ。私はまるで事件を起こしたみたいに『止めてください、止めてください』って、足早に走り去りました(笑)。(「再婚の予定は?」という香取編集長の質問に)今のところはないです。彼女とかも、いませんものですから」

開かれた県政を掲げる東国原知事は、ブログに給料を公開しています。もともと宮崎県知事の給与は月額124万円。ところが、東国原知事の場合は、『経費節減』を理由に自身の月給の20%カットを選挙戦で宣言! 現在の月給は公約通り20%をカットした、99万2千円となっています。さらに、去年は県庁の裏金騒動の責任をとって、10月と11月の月給を大幅にカット。11月の月給は、21万5928円でした。そんななか、気になるのが、テレビの出演料。就任以来、東国原知事が出演したテレビ番組の数は1年間で実に500以上。もちろん、SMAPとも共演を果たしています。
■国民のギモン:テレビの出演料ってもらっているんですか?
<知事の答え> 「(謝金は)もらっているものと、もらっていないものがあります。ニュースとかワイドショーは、一切ないです。宮崎県内の番組、雑誌、新聞取材に関しては、すべてないです。県外の予算のあるメディアに関しては文化人ランクというところで、いただいています。バラエティー番組なんかは、結構、たくさんいただけるみたいですよ。(「ご自身は額はご存知ないんですか?」という大下アナの質問に)」秘書と後援会の方が管理されているので、だいたいの額は知っているんですが。知事の口座に振り込まれるんですが、あんまり見てないんですよ。(「スマステは、ニュース番組でもあり、バラエティーでもあるんですが、ギャラは受け取ってもらえますか?」という香取さんに)」それは、正当な報酬なので受け取らなきゃいけないんですよ。ただで出ると、寄付行為になって公職選挙法に抵触してしまいますので」

宮崎に東国原旋風が巻き起ってからちょうど1年。先月27日には東国原知事も応援にかけつけた、橋下徹弁護士が大阪府知事選で圧勝。またひとり、タレント出身知事が誕生しました。これまでに、タレントや作家、スポーツ選手などから知事や国会議員へと転身を果たした人も数多くいます。知名度が高く、選挙に強いタレント出身の政治家はますます増えているのです。
■国民のギモン:政治家に向いていると思う芸能人は誰ですか?
<知事の答え> 「島田紳助さん、大竹まことさん、うちの師匠の北野武さんも向いてると思うんですが、本人にやる気がなさそうなんで。(「紳助さんが向いているのは?」と言う香取編集長の質問に)バランス感覚ですね。あと、国のこと、国民生活のこと、経済のことに興味があるんですよ。(「大竹さんは?」と言う香取編集長の質問に)なるとしたら、民主党か共産党だと思いますね。あるものを、客観的に批判的に見る力がありますから。(「政治家に向くのに必要なのは?」という香取編集長の質問に)バランス感覚を持っているかどうかなんですよ。政治の世界に入ってしまうと、そこかの視点でしか見えなくなる。これが、最悪なんですよ。権力がそうさせるんですよ。権力を持てば持つほど、冷静かつ客観的な視点を持たないといけないと僕は思うんですね。(「香取慎吾はどうですか?」という香取編集長の質問に)香取さんは十分素質があります。ただ、政治家になる才能よりも、タレントとしての才能が抜きに出てます。タレントさんのほうが稼げますし、モテます、そして自由です」
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