スペイン北西部の街、サンティアゴ・デ・コンポステーラ。敬虔なカトリック信徒たちが世界中から集う、キリスト教の聖地である。9世紀の初めに、イエス・キリストの十二使徒のひとりであった聖ヤコブ(スペイン語名:サンティアゴ)の遺骸が発見され、それにちなんでサンティアゴ・デ・コンポステーラと名づけられて以来、この地を目指す巡礼者が後を絶たない。スペイン国の守護聖人としても崇拝されている聖ヤコブの境地へ少しでも近づくべく、巡礼者は巡礼の象徴である「貝殻」があしらわれた道標に従って聖地へと向かう。街道は聖なる地への到着を心から願った人々が築き上げた、祈りの結晶でもある。雪のイバニェタ峠を出発し、「星の野原」の名が冠せられたサンティアゴ・デ・コンポステーラまで、巡礼の道をゆく。