フランス革命後の動乱期、貧乏な田舎貴族の身から皇帝の座に上り詰め、ヨーロッパ全域を支配する広大な帝国を築き上げたナポレオン・ボナパルト。皇帝退位に追い込まれイタリア中西部のエルバ島へと追放・幽閉された彼は、しかし翌1815年2月に400名余りの兵士を引き従えてエルバ島を脱出、自らの復権をかけたパリへの行軍を開始する。通過する地で次々と有志の兵を加えたナポレオンがグルノーブルに到着した頃、その皇帝復権を望む世論は最高潮に達していた。アルプス山脈を隔てた324kmにわたる険しい道のりは今、『ナポレオン街道』という観光道路となっている。ヨーロッパ希代の英雄・ナポレオンが後に「人生の中で最も印象的な旅」と語った街道を、英雄の思い出とともに辿る。