ハンガリー。正式名称はマジャルオルサーグ。その名は10世紀にハンガリー王国を築いた、アジアにルーツを持つといわれるマジャル人に由来するという。19世紀、オーストリア＝ハンガリー二重帝国の皇妃エルジェーベトは、人々の自由で闊達な気質に惹かれ、安らぎの地として愛したという。首都ブダペストを起点に、バラトン湖畔を巡り、貴腐ワインの産地トカイ、ホルトバージの大平原を抜け、セゲドへ。大平原に続く街道を進めば、エルジェーベトが親しんだこの国ならではの風土と人々の暮らしに出会う。多彩とも言える文化は、ヨーロッパのほぼ中央に位置し、東西の勢力が交差した歴史の中で、人々がマジャル人の誇りを胸に培ってきたものだ。皇妃エルジェーベトの心を捉えた大平原の国ハンガリー、その懐を巡る。