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2021年8月26日(木)の放送内容




北部の平原を走り、橋の彼方に小さな村を臨みます。ハワースに着きました。旅の親子が声をかけてきます。19世紀、この村から「ジェーン・エア」「嵐が丘」の名作が生まれたのよ、と。
牧師だった父のもと、牧師館で育ったブロンテ姉妹は、それぞれに類まれなる想像力を養いました。今は博物館となった牧師館には、エミリーがよく弾いたというピアノがありました。
「嵐が丘」を書いたエミリーが多くの時を過ごした部屋には、愛犬フロッシーの絵が残されていました。愛犬を連れ、家の裏に広がる荒野を歩くことを何より楽しみにしていたエミリー。荒涼としたこの大地が、「嵐が丘」の物語を生み出したのでしょうか。
エミリーは、野の花に詩をよせました。
『ヒースはささやいた 冷酷な壁が わたしをとり囲んでいるのです』『最後の夏の日差しを浴びて わたしは咲いていたのです』※
19世紀、人の死が日常だった時代、ヒースの力強い姿に自分を重ね荒野のような現実を生きようとしたのかもしれません・・・。
※引用:『エミリ・ジェイン・ブロンテ全詩集』より 中岡洋訳
♪ Ode To My Family / The Cranberries