高原の道を進むと風景はグラデーションの様に変わっていきます。
気が付くと、17世紀半ばからおよそ200年に渡って都が置かれた城郭都市である、ゴンダールの街並みが姿を現しました。「見所はたくさんある」と青年が言います。
まずはピアッサと呼ばれる広場に立つと、その名が示す様に20世紀にイタリアが建築した建物が並びます。19世紀の皇帝テオドロス2世は、この地の修道院で教育を受けた武将です。人々は歴史の残り香を誇りに、町に暮らしています。
町の一廓にファジル・ゲビと呼ばれる城がありました。風格に満ちた佇まいは、訪れる人に過ぎし時代を語りかけてくれます。
ヨーロッパやアラブ文化の影響を受けたと言われる壮大な城塞建築群を見ると、東アフリカの国・エチオピアのその強大な力に驚かずにはいられません。17世紀にこの城を築いたソロモン王朝は、この地を都と定め隆盛を極めたといいます。
民族衣装を纏った女性の姿に、ゴンダールの歴史が重なっていきます。

♪　Abet Wubet / GIGI