タナ湖に沿って広がる田園地帯には様々な作物が稔ります。中でもこのテフはイネ科の植物で、この国原産の穀物だと言います。出会った人が、日本人の米と同じようにエチオピア人にとっての主食だと、教えてくれました。
そこで街道沿いの家に立ち寄ってみました。婦人が調理するのは、テフの種を粉にして水に溶き、発酵させて焼き上げるインジェラという料理です。
さて、焼きあがったでしょうか・・・。彼女はこれから六人家族の三日分の食事として30枚焼くと言います。エチオピア・カレーと一緒に食べます。味見をする妹さんが、「なにはなくともインジェラだ」とほほ笑みました。
この食べ物、町のレストランでも味わえると聞き、ウォレタという町で足を止めることにしました。最近はグルテン・フリーの食べ物として、世界的に知られるようになったと女性が語ります。
男性が、元気が出て来ただろうと見送ってくれました。街道沿いに聳え立つ奇岩を見ながら、標高2000メートルを超すこの地に暮らす人々にとって、インジェラは生きる糧なのだと思いを馳せました。

♪　PESAWAT TEMPURKU / IWAN FALS