この国の時間は特別で、午前6時が1日の始まりである0時にあたり、暦もキリスト生誕の解釈の違いから、西暦よりも7年程遅いのです。
エチオピア北部の聖地ラリベラの朝、岩窟教会に向かう人が、今日は特別なミサがある日だと教えてくれました。
11の岩窟教会の中で、最も大きな聖救世主教会は、白い民族衣装のシャンマをまとった夥しい人々で埋まり、祈りと十字架の祝福の後にミサが始まります。楽士たちが聖歌を歌い踊ります。ギリシャ正教では、聖歌の時に楽器は禁止されていますが、エチオピア正教では太鼓と鈴が使われます。
司祭が読み上げるのは、古代から伝わる言語で記された新約聖書。人々の神への献身が、岩窟教会を造り上げたと言えます。
この十字架を象って掘り抜いた聖教会は、「神秘のキリスト教国」と言われるこの国の象徴でもあります。訪れる巡礼者たちは途切れることはないと、女性が清らかな笑みを浮かべました。
暮れなずむ高原の空に、人々の祈りが溶け込んでゆきます。

♪　Tizita / Aster Aweke