世界の街道をゆく

毎週月曜〜金曜よる8時54分から放送

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2020年4月6日(月)の放送内容

首都アディス・アベバを後に、北部にやって来ました。神話と伝承に彩られた歴史が、今も息づく地域です。
ゆく手に12世紀にザグウェ朝によって拓かれた古都、ラリベラが姿を現しました。谷間を流れる小川はヨルダン川と呼ばれ、聖職者が見つめる岩窟教会が並ぶこの地は、ラリベラ王が、巡礼が叶わないエルサレムを思い描き、造営したエチオピア正教の聖地なんだと、男性が真摯な眼差しで語ります。
管理人の話では、11の教会は全て、建てたのではなく20年余りの歳月をかけて岩を掘りこんで造られたものだと言います。16世紀、この教会群を目にしたポルトガルの司教は、「これらについて、どう語っても、誰も信じてはくれないだろう」と記していますが、確かにそんな気にさせてくれます。
この聖マリア教会は最初に造られた由緒ある聖堂です。伝説によるとラリベラ王が幼い頃、成長して王座を奪われることを怖れた先代の王に毒を盛られ、昏睡状態の中で見た天国の光景を、即位したのちに再現したものであると言われています。
聖職者が、標高2400メートルのこの地は王にとって天国だった、と呟きました。

♪ Ethiopia / BILL LASWELL