デトロイトからおよそ2100キロ走り、ニューヨーク市クイーンズ地区に着きました。
この街はアメリカでも最もエスニック色が強いことで知られ、多様な民族の人々がそれぞれ寄り添うように暮らしています。
その一画に、歴史を思わせる工場とその名を冠した通りがありました。
スタインウェイ・アンド・サンズ。かのグランドピアノの工場です。「1853年に創業したのは、ドイツからやって来たヘンリー・スタインウェイとその息子たちだ」と、職員が話してくれました。
繊細な残響のヨーロッパピアノとは違い、アメリカの広大なホールで、大音響を奏でる強靭なピアノをどう作るか。「そのために、継ぎ目のない強固なリムなど数々の発明・特許をとってきた」と、広報マンが語ります。
1870年、工場を拡張するため、ここクイーンズに移転。職員住宅も整備しました。「優秀な職人を大切にする、それがスタインウェイのピアノ作りへの想いだった」と、教会の管理人さんが微笑みました。
1日に仕上がるピアノの数は6台。職人たちが誇りと時間をかけて、創業者ヘンリー・スタインウェイの想いに応えています。

♪　Polonaise No.6 In A-Flat, Op.53 "Heroic" / Chopin：Vladimir Horowitz