世界の街道をゆく

毎週月曜〜金曜よる8時54分から放送

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2018年11月12日(月)の放送内容

デトロイトからおよそ590キロ、クリーヴランドに入りました。この街はエリー湖の畔に拓かれ、いくつもの運河や鉄道の起点となる立地から、工業都市として発展しました。
ひときわ目立つ建造物は、1865年に終わった南北戦争のモニュメントです。「あの戦争以降、奴隷解放だけでなく、アメリカの産業発展が本格的に始まった」と黒人学生が語り、街並みを見つめました。
その産業の時代を作り上げた立役者が、18歳の時にクリーヴランドで起業したジョン・ロックフェラーです。ロックフェラーは19世紀半ばにペンシルヴェニアで石油が大規模に発見されると、その将来性に目をつけ、石油精製会社を設立。さらに石油採掘へと事業を拡大、アメリカ最大の石油会社に発展し、「石油王」と言われるようになりました。
20世紀、ヘンリー・フォードが自動車の大量生産に成功すると、ガソリンの需要が高まり、ロックフェラーに更なる利をもたらしました。この地に勤める男性が「ロックフェラーは資金力で鉄道会社と組み、競合他社を締め出すなど、トラスト的経営で強くなっていったのだ」と教えてくれます。
「良くも悪くも、アメリカには彼の遺産が多く残っているのだ」と、空を見上げました。

♪ ロックフェラーの天使の羽 / 辻井伸行