マレー半島が細くなる地域を走ります。この一帯は海のシルクロードの時代、東西を陸路でつなぐ要衝でした。
チャイヤーという静かな町に着きました。「ここはタイ王国以前に、この辺りの海域を支配したシュリーヴィジャヤという交易国家の寺院都市だったありがたい町なの」とご婦人が語ります。町の中心にある寺院はシュリーヴィジャヤが隆盛を極めた8世紀頃に建てられたものです。仏塔を指さすのは国家認定された修復職人さんです。これはインドネシア・ジャワ島の様式に近い仏塔で、美術史上、重要なものなのだと胸を張ります。
町中に貴重な遺跡が数多くあります。ボーイスカウトや地元の小学生が見学に訪れ、子供らの声が明るく響きます。かつてシュリーヴィジャヤの時代、この地には、10以上の仏教寺院が立ち並び、1000人の仏僧が暮らしていたとも言われています。歳月がたち朽ち果てた仏教寺院を少女が見つめます。この遺跡の佇まいが彼女たちの心にどんな記憶として残っていくのでしょう。

♪　Light Years / Susheela Raman