古都・シェキの石畳を走っていると、この街は音楽の街だと男たちが声をかけてきました。
かつての隊商宿・キャラバンサライを改装した商店街に、楽器店が並びます。
シルクロードを通り、東西から伝わった楽器が並ぶ店内。店の主人が、この街きっての楽器職人を教えてくれました。
工房を訪ねると、作っていたのは「タール」という弦楽器です。桑の木をくりぬき、羊の皮を張って作り上げます。伝統技術を伝える匠が、旅を続ける我々にはなむけの曲を演奏してくれました。
イランの弦楽器がこの地に伝わり、独自の楽器として根付いたタール。そのもの哀しい調べに、かつてこの地を旅したキャラバンたちの苦難を思い浮かべました。

♪　Nar-I Ney / MERCAN DEDE