バクーから300キロ。コーカサス山脈の山懐に向かいます。コーカサス、とは「白い雪」を意味するといいます。短い夏を、緑が歌います。
道の終わったところ、そこがキナリックという村でした。標高2350メートル。外の人をほとんど見たことがないという子供たちが、そっと、訪問者を窺ってきます。
3年前に道が整備されるまで、この村は陸の孤島でした。羊を飼い、糸を紡ぎ、絨毯を織る。話す言葉も、この村独自の言語。まるで何世紀も前にタイムスリップしたかのような感覚に襲われます。
羊飼いが語ります。「我々はこの白い山に守られてきた。これからも、我々は山と共に暮らして行くことだろう」と。

♪　LA CASA DE AL LADO / LILIANA HERRERO