多才な女優・芋生悠の役作りとプライベート。いつかはアジアや英語圏でも活躍したい

focus on!ネクストガール

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#12 芋生 悠(後編)

旬まっ盛りな女優やタレントにアプローチする連載「focus on!ネクストガール」

芋生悠(いもう・はるか)。2014年『ジュノン・ガールズ・コンテスト』にてファイナリストに選出され、翌2015年に女優業をスタート。以降、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK2019年)や映画『左様なら』(2019年)、『ソワレ』(2020年)、『ひらいて』(2021年)など、数々の映画やドラマへ出演を重ね、今夏放送されたドラマ『あなたはだんだん欲しくなる』(BS-TBS2022年)では、連続ドラマの初主演を務めた。後編では、空手や美術など多才な彼女に、さらに掘り下げた話を聞いてみた。

インタビュー【前編】

「focus on!ネクストガール」
今まさに旬な方はもちろん、さらに今後輝いていく「ネクストガール」(女優、タレント、アーティスト等)を紹介していく、インタビュー連載。

『牛首村』撮影前に8キロの減量。芋生悠の役作り

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──女優として、いつか「母親役」に挑んでみたいとのことですが、芋生さんが演じた役で難しそうだなとボクが思ったのは、映画『ひらいて』(2021年)での役柄で、すごく微妙な役というか……演じるにあたっては何から役に寄せていくんでしょうか?

芋生 そうですね。『ひらいて』のときは、私の役よりも(山田杏奈さんが演じていた)「愛ちゃん」のほうが、自分の中では共感する部分があったんです。なので自分の「美雪」という役は、どう作っていこうかなと、わりと考えて……。

普段は、役をあまりプライベートには持ち込まないんですけど、「美雪」を演じたときは、撮影に入る前から「美雪」としてというか、半分「美雪」としてみたいな感じで過ごしました。日記をつけたり。ほかにも、役に合わせて、自分の体調を管理して自分でご飯を作ってとか、自分のことは全部自分でやる、というように過ごして「美雪」っぽさを手に入れていく感じでしたね。

──なるほど。『ひらいて』(綿矢りさ/新潮社/2012年)のような原作ものに臨むときは、原作を読まれてから撮影に入るんですか?

芋生 はい。『ひらいて』は、小説を読んでいると、美雪が本当に繊細な人だったので、私にその部分があるのかな?みたいなことは少し不安になったりもしたんですけど。

もちろん原作ものの怖さもあるんですが、これは首藤凛監督がずっと温めていた企画だったということもあって……「監督が大丈夫って言っているんだったら大丈夫か」という、監督との信頼関係もすごくあって。だから安心して撮影に挑んでいました。

──なるほど。芋生さんが参加した最近の作品では、ホラー映画の『牛首村』(2022年)もありましたけど、それこそ、なんともいえないような役で……。

芋生 そうですよね(笑)。あれは最初に、こういう見た目で!って、キャラクターを書いてきてくださって……骨が見えるぐらいガリガリでみたいなことだったから、短期間で痩せなきゃなと思って、まず8キロくらい落として。

ずっと食べられていなくて飢えているという設定もあったので、そのときは、ちょっとおかしくなるぐらい飢えていたんです。本当に食べていなかったし、後半は水分も控えめにしていて、本当にいろいろなものが研ぎ澄まされていて、聴覚なんか、もう全部聞こえる!みたいな感じになっていたので。自分が怖かったです(笑)。

──そこまでの役作りは、清水祟監督からのオファーということではなくて、ご自分でそういうふうにアプローチしてみようと……。

芋生 そうですね。清水さんは(私の作品を)ずっと見てくださっていて、親しかったということもあったし、やっとご一緒できるっていうこともあったので、がんばらなきゃ!っていう気持ちがすごくて、やり切りました。

──それがあの鬼気迫る演技に。最新作になるショートドラマ『目の毒すぎる職場のふたり』(Hulu/2022年)についても伺わせてください。

芋生 はい。ドラマは臼田あさ美さんとふたりでずっと会話をしている会話劇なんです。ちょっとシュールなコメディっぽい感じなんですけど。臼田さんが本当におもしろくて(笑)。何回も笑いそうになりながら、食らいついてかなきゃと思って、がんばっていました。

──なるほど、コメディなんですね。会話劇。将来的にはコメディエンヌ的な役柄とかもやってみたかったりします?

芋生 はい、やってみたいです。コメディ、けっこう好きなので。

韓国バラエティが韓国語の勉強におすすめ?

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──最近ハマっていることってありますか?

芋生 『NARUTO』(岸本斉人)を観ていて。今さらながら。めちゃくちゃハマってます(笑)。

──『NARUTO』! 将来的にアニメ声優のお仕事が来たりしたら、やってみたかったりします?

芋生 めっちゃやりたいですね! ジブリは、すごく好きで、やってみたいなって。

──ジブリでの好きな作品は……?

芋生 『ハウルの動く城』(2004年)が好きです。ソフィーが魔女に向かって「ハウルは来ません」って言うシーンが……だんだん若い姿になっていって激しく吐露するところ、すごくかっこよくて好きです。

──芋生さんの声優、聞いてみたいですね。仕事とは関係なく、今後チャレンジしてみたいことってありますか?

芋生 新しいことをしてみたいです。韓国とか香港とかにも進出したいなとか。あとは英語圏でも活躍してみたいなっていうのもあるので、言語を会得したいというのが今、一番あります。

──やってみたい言語は?

芋生 韓国語は、わりと単語だったらちょっと話せるようになってきていて。英語は、確実にもっとしゃべれるようになったらいいなって。

──韓国語は、韓国ドラマを観ていたら覚えた?みたいなことですか。

芋生 はい、韓国ドラマとか。あと音楽もずっと聴いていたり。あとYouTubeで韓国のバラエティなんかも観たりします。それで韓国語は、けっこう聞きなじみがあって、わりと最近は、字幕もつけずになんとなくわかるみたいな感じになってきたんです。やっぱり聞くのは大事なんだなって。

──すごいですね! おすすめの韓国ドラマって、あります?

芋生 『華麗なるリベンジ』(2016年)はずっと好きです。バラエティも、日本のバラエティとはちょっと違うというか……単語もわかりやすいし、逆にバラエティで勉強するのもありかなと。

空手と絵はこれからも続けていきたい。いつかは個展も──

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──言語の習得もそうですが、もともとすごく多趣味という多芸というか……絵も描ければ、空手もできるじゃないですか。ご自分の中でこれから先、改めてまた極めたいというものはありますか?

芋生 空手と絵ですかね。このふたつは本当に本気でずっとやっていたからこそ。絵は、なかなか描けるタイミングがなかったりするんですけど、またやりたいなというのもあるし、空手は、たまに家でやるんですけど本当にきつくて。本当に簡単そうに見えるけど、体幹をずっと使っているからもうヘトヘトになって……。体力作りにもなるし、もう一回やってみたいなって思います。

──絵のほうも、また描きたいなという感じですか?

芋生 そうですね。絵は描き溜めたいなというのがあって、いつかは自分の作品の展示ができたらいいなって。

──基本は、油絵で。

芋生 そうですね。油絵が、一番好きですね。

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──描くのがメインだとは思うんですけど、好きな画家の方はいらっしゃいますか?

芋生 はい。池永康晟(1965年~)さんという、美人画を描かれる方です。私も描いていただいたことがあって。美術部だったときには、池永さんの画集を皆で回して見たりとかしていたので。本当に、めちゃくちゃかっこいいんです。現代の浮世絵というか、まさに美人画という感じで。すごくきれいです。

──ということは、やっぱり人物画にすごく興味がある。

芋生 そうですね。人物画はけっこう難しいというか……悩みがちなんですよね。そのぶん奥が深いというか。

自分を描くときは自分とずっと向き合いながら描くし、人を描くときは人と向き合いながら描くし、そういう部分で何か人と向き合っているって感じがして楽しいです。

──人物画ってなかなか描けないんですよね、難しくて……何回描いても、目を入れるのが本当に怖い。

芋生 めっちゃわかります(笑)。目を描いちゃうと急に、人が変わりますよね。本当にちゃんとよく見ないと。でも逆に、色の感じとか濃淡で全然変わるから、難しいけど楽しいんですよね。

──絵を描く道具一式は、今もある?

芋生 はい、あります。たまに描いたりしているんですけど、自画像を描く勇気が逆に最近なくなってきちゃっていて。やっぱり学生のときのほうが、もっと怒りのパワーとかがあったりして、描きやすかったのかなっていう。その当時はすごいイヤだったけど、最終的に作品になるとそれはそれでよかったりしていたんです。今だと、またちょっと違うというか……。

──もし今、芋生さんが自画像を描かれたとしたら、どんな感じになると思います?

芋生 それがわからなくて……自画像じゃなくて、最近は抽象画を描くことが多いんです。怒りのパワーだけじゃない何かで描きたいなというのはありますね。

──積み上げてきたものがどう出るかみたいなことなんですかね。見てみたいです。

芋生 はい。何か描けるきっかけがあったらいいなと思います。たとえば、自分が10周年のときに描けたりしたら。

取材・文=鈴木さちひろ 撮影=時永大吾 ヘアメイク=渋谷紗矢香 編集=龍見咲希、中野 潤

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芋生 悠(いもう・はるか)

1997年12月18日生まれ。熊本県出身。2014年『ジュノン・ガールズ・コンテスト』にてファイナリストに選出され、翌2015年に女優業をスタート。以降、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK/2019年)や映画『ソワレ』(2020年)、『ひらいて』(2021年)など、数々の映画やドラマへ出演を重ね、今夏放送されたドラマ『あなたはだんだん欲しくなる』(BS-TBS/2022年)では、連続ドラマの初主演を務めた。

▼Huluにて独占配信中の、臼田あさ美主演の連続ショートドラマ『目の毒すぎる職場のふたり』に“山脇しずく”役として出演(毎週火曜・金曜よる9時に2エピソードずつ配信/全25話)

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