埼玉・飯能市
~ 果物いっぱい 夫婦蔵カフェ ~

舞台は、昔ながらの建物や蔵が数多く残る町、埼玉県飯能市。この町で、明治時代に建てられた蔵を改装し、カフェと骨董屋さんを始めた粕谷幸平さん(64歳)と妻の康子さん(60歳)が主人公です。お客さんの多くが注文するのが、マスクメロンにブランドみかん、白イチゴなど、ふんだんに果物が盛り付けられた「フルーツパフェ」。お手頃な価格でフルーツたっぷり、豪華なスイーツが食べられるとあって、地元で評判のお店です。
飯能市出身のお2人は38年前に結婚。幸平さんは商店街にあった両親の青果店を継ぎ、康子さんも大学の事務として働く傍ら、休日は店頭に立ちました。ご夫婦は幸平さんの実家にあった蔵で「いつかカフェでもしよう」と語り合うように。そんな中、幸平さんは趣味の骨董収集にのめり込んでいきました。やがて商店街の客足が減り、お得意様への配達のみを残し、8年前に青果店の店舗を閉めた幸平さん。翌年、趣味の骨董と山野草を売る『古美術 草風庵』を開きました。一方、康子さんは3年前、介護のために退職を決めた矢先に母親が亡くなり、落ち込んでいました。それでも、前向きな幸平さんの影響で「夫婦の夢、今ようやく蔵でカフェができる時だ」と少しずつ気持ちを切り替えていきました。その後蔵を改装し、2019年『蔵カフェ 草風庵』をオープン。蔵は「夫婦(めおと)蔵」と呼ばれる造りで、カフェのある表蔵の後ろにもう一つの蔵がくっついている形。裏の蔵に幸平さんの骨董品がずらりと並んでいます。
長年抱いていた「いつかカフェをしてみたい」という夢を叶えた粕谷さんご夫婦。お2人が待つ蔵には常に家族や友人が集い、とっても賑やかで充実した毎日を過ごしています。



『蔵カフェ 草風庵』のコーヒー担当は幸平さん。店内では大正時代のコーヒーカップや戦前のガラスの器などアンティーク食器を惜しげもなく使っています。また、幸平さんがこだわって仕入れる新鮮フルーツを使って、康子さんがスイーツに仕立てます。例えばこの日の「季節のフルーツパフェ」は宮崎産キンカンの「たまたま」、愛媛産みかん「甘平」、静岡産のマスクメロンなど豪華な果物を全部で12種類もトッピング!「イチゴパフェ」は、群馬産の白イチゴ「淡雪(あわゆき)」、福岡の「あまおう」、埼玉の「やよいひめ」、3種類のイチゴを食べ比べできると人気です。お客さんは「とにかくフルーツが美味しい!滅多に食べられないものばかり」と大喜び。カウンターに立つご夫婦は、皆さんとの語らいも日々の楽しみなんです。



「夫婦蔵」の、奥の蔵には幸平さんが買い集めた骨董品が並んでいます。幸平さんは長年の骨董収集の趣味が高じて、古物商の許可を取りました。「古伊万里」や「古唐津」などの焼き物や蓄音機が、所狭しと置かれています。この日、骨董部門の常連、小俣智義さんがやってきました。幸平さんはこうして古美術好きなお客さんが来店すると、裏の蔵にこもってコレクションを眺めては骨董談義に花を咲かせます。そんな幸平さんは3年前から、趣味で極めた「金継ぎ」を教える教室も開きました。漆や金粉を使って壊れた器を修復する技法は「新たな命を吹き込む楽しさがある」とたくさんの方から大人気です。



お店の仕込みをしていると、やって来たのが…近所に住む長女一家。必ず毎朝、お店に顔を出してくれるんです。孫の龍聖くんと心那ちゃんのお目当ては、フルーツのおすそ分け。「シャインマスカット下さい!」とおねだりしては、口いっぱいに頬張って幸せそう…。長女のくるみさんはいつもご夫婦を気にかけ、見守ってくれています。娘婿の大樹さんは大工さんで、蔵の改装を手掛けてくれました。明治時代の蔵に1年がかりで向き合う中、先人の技に触れ感動したそうです。蔵は釘を一本も使わず、太い梁や柱を組んで建てられており、地震の揺れに耐える構造になっていると語ってくれました。



定休日、康子さんが訪れたのはパンとお菓子の教室『キュッフェ・サノ』。“えっちゃん”こと佐野悦子さんは康子さんの同級生で、自宅で教室を開いて20年。康子さんが蔵カフェを開くと聞いて、フルーツのお菓子を教えてくれるようになりました。
今日作ったのは、ニュージーランドやオーストラリアに伝わる「パブロバ」。メレンゲを焼き上げ、季節のフルーツをトッピングするスイーツです。普段から「フルーツのお菓子があると、やっちゃんのお店にいいかもしれない」と考えているという悦子さん。今も昔も変わらない絆。悦子さん、これからもよろしくお願いします!ちなみにこの日お2人は、「小学校時代に康子さんが女子を率いて河原で男子と決闘した話」で大盛り上がりしていました。
奥むさし飯能観光協会

飯能市は昔懐かしい町並み、由緒ある神社仏閣など見どころがたくさんあります。観光に興味のある方は、こちらにお問い合わせください。
電話番号:042-980-5051
問い合わせ時間:午前9時~午後5時

蔵カフェ 草風庵

粕谷さんご夫婦が営む蔵カフェでは、旬のフルーツデザートをどうぞ。さらに、奥の蔵では、すごい骨董品と出会えるかもしれません!
電話番号:070-3230-2385
営業時間:午後0時30分~午後6時
定休日:月曜・木曜(日曜不定休)
季節のフルーツパフェ:1,200円
本日のタルト:500円
※果物により価格は変動します

