島根・浜田市
~ 旬味わう 山里の韓国料理店 ~

日本海に面した島根県浜田市が舞台。浜田漁港から車で山道を進むこと30分、山々や田園風景が広がる弥栄町(やさかちょう)があります。木々に囲まれ清流が流れる山の中で、主人公夫婦が始めたのは…キムチやナムル、野菜たっぷりの鍋などが食卓にずらりと並ぶ、韓国料理の店。店名は『マンナム』、韓国語で「出会い」を意味します。主人公の新川信一さん(59歳)と妻の朴銀璟(うんぎょん)さん(56歳)が4年前に始めた、完全予約制のお店です。ソウル出身の銀璟さんが作るのは韓国の家庭で食べられる素朴な料理、こだわりは地元で採れる旬野菜を使うこと。接客担当の信一さんは日本であまり知られていない料理の数々を細かく説明してくれます。
千葉県出身の信一さんは28歳で服飾関係の会社を設立しましたが、その後、経営難に陥り離婚も経験。そんな時、逆プロポーズして信一さんを救ってくれたのが銀璟さんでした。結婚後は中国に拠点を移し事業を展開した信一さんでしたが、53歳の時に両親の介護のために帰国し、会社を手放すことに。その後の人生について夫婦で話し合ううち、「田舎暮らしをしてみたい」と言い出したのが銀璟さん。韓国でも田舎への移住がブームで憧れていました。早速、東京での移住説明会に参加し、島根県のブースを訪れたことをきっかけに浜田市で1年間の農業研修を体験。すっかり弥栄町が気に入ったご夫婦は、「地元産の野菜を使ってキムチなどの加工品作りが出来ないか」と考え始めます。移住後、空き家だった市の共同住宅を借り、厨房を改装して2016年に完全予約制の韓国料理店『マンナム』をオープンしました。
店では地域の農家さんが育てた白菜やカブなどを使ってキムチやナムル、炒めものなどを作り、お客さんに提供します。これらは食事の最初に出す「パンチャン」と呼ばれる惣菜。多い時で16品がずらりと並び、お客さんはこの量にびっくり!さらに韓国風の辛味のある鍋料理やチヂミなどが出て1人1500円です。好奇心旺盛で、次から次へと新たなチャレンジを続ける信一さんと銀璟さん。これからもこの町でいろんな体験を楽しんで下さいね!


市の空き家バンクを利用して立派なマイホームを手に入れたご夫婦。1万8千坪もの土地があり、母屋や納屋、倉庫、さらには山まで付いて350万円というから驚きです。お2人が物件を見に来た時、一目で気に入ったのが、家の目の前に広がる絶景。高台に建つお宅は、集落が一望出来て開放感にあふれています。この見晴らしが季節や時間帯によって常に変化するので、どれだけ眺めていても飽きないそう。「今まで60年近く生きてきたのに、田舎暮らしを始めて全く知らなかったことを学べたり、新たな発見があって毎日が楽しい」と語る信一さん。本当に素晴らしい土地に出会えました。


冬は白菜が旬を迎える季節。銀璟さんがこの時期にするのが、白菜キムチの漬け込み作業です。仕入れるのは、ご近所の農家・河野さんが丹精込めて育てている白菜。露地栽培にこだわり、寒気にさらして育てる白菜は、甘味が強くとっても美味しいんです。銀璟さんの故郷・ソウルでは、キムチを漬ける頃は「キムジャンボーナス」といって、特別なボーナスが支給されるほど重要な行事。銀璟さんもこの地でその伝統を守り、「ヤンニョム」と呼ばれる唐辛子やニンニク、イワシのエキスなどを混ぜた自家製の調味料を使って手間暇かけて白菜を漬け込みます。この味に惚れ込んでしまったのが、地元の栃原さんご夫婦。いつも沢山の野菜を頂く代わりに、キムチをプレゼントしては喜ばれています。こうした温かな交流もまた、ご夫婦の楽しみです。



銀璟さんが作る、本場の韓国家庭料理。オープン当時から通い詰めているファンもいるほどで、多くの常連さんがいます。日本では馴染みがない料理の数々を、一品一品丁寧に説明する信一さんの接客も好評。ある日のメニューでは、テーブル一杯に並んだパンチャン(惣菜)18品、漁港で仕入れた新鮮なアンコウを使ったアンコウ鍋「アグチム」、島根のブランド豚「石見ポーク」のサムギョプサル、さらにアンコウの天ぷらまでが登場。常連さん方も銀璟さんの手料理に惚れ込んでいて、これだけ沢山召し上がった上に、持ち帰りの追加注文までして自宅で楽しむそうです。信一さんの心づくしのもてなしと、銀璟さんの絶品のご馳走でこの日も大満足でお帰り頂けました!


夕暮れ時、信一さんのお宅に灯りが灯り、続々とご近所さんが集まってきました。実はご夫婦、母屋の隣にある納屋を改装し、予約制の居酒屋『ゲストハウス&酒場 それいむ』を新しくオープンさせたんです。近所には居酒屋が一軒も無いため、地元の皆でお酒を酌み交わし、楽しめる場所になればと始めました。もちろん、お酒のアテは銀璟さんが作る韓国料理。カニを醤油に漬け込んだケジャンや、春雨と牛肉、野菜などを炒めたチャプチェなど、沢山の料理がバイキング形式で並びます。ご近所の皆さんは「歩いて来て、歩いて帰れるから最高!」「嬉しい」と大喜び!
信一さん、銀璟さんも最初は手探りで始めましたが、「地元の皆さんと楽しい時間を過ごせて、仲間の輪に入ることができた」と嬉しい結果になりました。
浜田市役所政策企画課(浜田市空き家バンク)

浜田市に住みたい方はこちらをご利用ください。
購入のみではなく、賃貸もあります!
電話番号:0855-25-9200
問い合わせ時間:午前8時30分~午後5時15分
※平日のみ
韓国料理 マンナム

主人公の新川信一さんと朴銀璟さんご夫婦が営む韓国料理店です。
本場韓国の家庭料理が楽しめます。
電話番号:090-4147-0141
※1日2組限定、完全予約制
【おまかせセット】
ランチ:1,500円~
ディナー:2,000円~
