岡山・高梁市
~ ベンガラの町の夫婦カレー ~

舞台は、岡山県の中西部に位置する高梁市。定年退職後に『スープカレーの店 つくし』を始めた吉川昭さん(65歳)と妻の裕美さん(65歳)が主人公です。
高梁市成羽町吹屋は、幕末から明治にかけて町全体が、硫化鉄鉱からできる赤い顔料“ベンガラ”に統一された歴史のある町。吹屋にある理髪店の次男だった昭さんは小学校の教諭になり、24歳の時に幼稚園の先生だった裕美さんと結婚。高梁市内に家を構えました。
定年退職後は吹屋に通い、母・ミツ子さんを見守りながら実家で店を開こうと考えたお二人。その時、頭に浮かんだのがスープカレー。吉川さん夫婦がよく通っていた岡山市のスープカレー屋の味が感動的で忘れられませんでした。当たって砕けろの精神で店を訪ね、レシピを教わることに。仕込みの日には夫婦で店に通い、一からスープ作りを学びました。そして2017年7月、昭さんの実家の一部を改装して『スープカレーの店 つくし』をオープンしました。
店の命となるカレースープは夫婦で仕込みます。野菜に20種類近いスパイスを加えてじっくり煮込まれた『つくし』のスープカレー。骨付きチキンカレーやトロトロの牛スジが入ったビーフカレー、ビッグサイズのチキンカツカレーなどがあります。
店には去年から、頼もしい助っ人が現れました。調理学校を卒業後、岡山市の料理店で腕を磨いてきた三男の壮さんです。親子3人力を合わせて頑張っています。
『スープカレーの店 つくし』がある吹屋には、海外の観光客も訪れます。昭さんと裕美さんは、店にいながら新しい出会いを重ねられることが楽しいと語ります。
ベンガラ色に染まった歴史ある町で開いたスープカレーの店。地域の仲間や訪れる人たちとの繋がりを大事にしながら、故郷である吹屋を盛り上げようと、吉川さんご夫婦の奮闘は続きます。



『スープカレーの店 つくし』のスープカレーは、牛筋と手羽元を煮込んだスープと、昆布やカツオの和風出汁を合わせたトリプルスープを使用。そこに、野菜と20種類のスパイスを入れて煮込み、最後に具材をこしていきます。
ごはんの横にはレモンを添えるこだわりが。ご飯にレモンをかけると、さわやかな香りと酸味がスープカレーとよく合うんです!



この日、吉川さんご夫婦は食材の仕入れに出掛けました。まずは友人の小物さんが、合鴨を使って育てたお米。続いて、柚子胡椒『吹屋の紅だるま』。作っているのは、7年前に吹屋の町並みを気に入って移住した佐藤さんです。
さらに、『つくし』の目の前では、97歳の小坂さんがミニ朝市を開いています。何でも1つ100円で、ほうれん草や水菜などの野菜が手に入ります。カレーに添えるらっきょう漬けも小坂さんの手作りです。


この日、裕美さんが向かったのは、以前園長先生をしていた幼稚園。今もボランティアで月に一回、手遊びを教えたり、絵本を読んだり、園児たちと触れ合っています。子供が大好きな裕美さん。みんなに癒やされる大切な時間です。


“吹屋の町をもっと賑やかにしたい”。そんな思いから、昭さんは趣味で続けているバンドのライブをお店で行うことにしました。演奏した曲は、昭さんが作詞した「吹屋ふるさと音頭」。故郷への思いが込められた歌です。町を散策していた皆さんが大勢集まってくれました。
高梁市成羽町観光協会吹屋支部

「吹屋ふるさと村」など、高梁市成羽町吹屋の観光情報については、こちらにお問い合わせください。
電話番号:0866-29-2222
問い合わせ:午前10時~午後5時
スープカレーの店 つくし

吉川さんご夫婦自慢のスープカレーが味わえます。壮さんのバターチキンカレーも絶品です!
スープが売り切れ次第終了です。前日の夕方までに予約をお願いします。
電話番号:080-2940-9540
営業時間:午前11時~午後3時
定休日:水曜
【メニュー】
骨付きチキンカレー:800円
ビーフカレー:800円
チキンカツカレー:1,000円
バターチキンカレー:900円

