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2019年1月19日睦月の参

和歌山・橋本市
〜 趣味を楽しむ田舎暮らし 〜

大阪との県境に位置する和歌山県橋本市が舞台。自然豊かな山間で、地域の方々と密に交流し田舎暮らしを楽しむのが、主人公の谷山育さん(69歳)と妻の悦子さん(69歳)。実は便利な大阪の住宅街に自宅があり、和歌山の山里の古民家との「二地域居住」を満喫しています。
大阪府堺市出身の育さん、大学卒業後は中学校の美術教師の道へ。26歳で悦子さんと結婚し、2人の男の子が生まれました。悦子さんは小学校教師、夫婦共働きで支え合ってきました。やがて育さんは教壇に立つ傍ら、夢だった画家としての活動もスタート。50歳を過ぎた頃には、美術活動に集中したいと大阪府河内長野市に自宅兼アトリエを構えます。その後、作家としての活動に没頭するため早期退職、個展などを開くように。悦子さんもまた、体操の教室を持つなど地域での交流を楽しむようになりました。充実した毎日を過ごす中、夫婦共に「田舎で土や自然に触れながら暮らしてみたい」という思いを強くしていきます。都会で生まれ育ったご夫婦にとって、田舎は昔から憧れの存在。そこで大阪での暮らしも続けながら夢を叶えたいと、通える距離で田舎の土地を探し始めます。そして出会ったのが和歌山県の山中にある小さな集落、橋本市高野口町嵯峨谷。豊かな自然と地元の方の温かさに惚れ込み、築100年ほどの古民家を購入。2014年の春、大阪と和歌山県橋本市を行き来する暮らしが始まりました。
橋本市に通い始めて5年。2人は次々に新しい山里の魅力と出会ってきました。その中でも最も感動したのが、いつも声をかけ、夫婦を気遣ってくれる地域の皆さんの温かさ。「谷山さんこっち来てたんか、これ持ってって」と米や野菜のおすそ分けは日常茶飯事。今まで知らなかった山暮らしならではの知恵を授かることもしばしば。地元の人々に刺激を受けながら、地域にどっぷり浸かった付き合いを楽しんでいます。「通うからこそ、2つの暮らしの新たな良さに気づく」というアクティブな谷山さんご夫婦。和歌山&大阪「いいとこ取り」の暮らしを楽しんでいます!

柑橘類が実る木々を横目にのどかな山道を登っていくと、築100年を越える、谷山さんご夫婦の古民家があります。お2人の自慢は家から望む景色。天気のいい日は山々を眺めながら朝食を楽しみます。さらに、ご夫婦が惚れ込んでいるのは、集落に日々生まれる交流です。「今日はシイタケ干したよ」「みかん、食べてみて」と、お2人の姿を見れば気さくに声をかけてくれる地元のみなさん。山暮らしの大先輩方は、いつもご夫婦を気遣い、優しく接してくれるんです。89歳の長老・井本文雄さんからは「ここで住んでくれるなり、来てくれりゃ。大事にせにゃあかん」とのお言葉。みんながご夫婦を温かく受け入れてくれています。

集落の女性陣が集まり、冬恒例の漬物作りが始まりました。カブとユズが出来たら、皆さん必ず作るのが「アチャラ漬」。今回は、まだ作ったことがない悦子さんも挑戦。先輩方に教えて頂きます。薄く切ったカブに、お酢やユズの搾り汁、皮などを加えて仕込むのですが…「カブはもっと薄い方がええ、ユズの皮は半分の量でええよ」とみなさんから細かな指導が入ります。出来上がったアチャラ漬けは、シャキシャキとした甘酸っぱいカブ、柚子の爽やかな香りがたまりません。この伝統の味を受け継ぎたいと、懸命に取り組んだ悦子さん。「みんなじいちゃんばあちゃんから聞いたのを、ちゃんとしてきてはる、というのが凄い」と改めて気づきました。

この日、集落の人々が家から出てきてざわざわ…何やら騒然とした雰囲気。育さんも様子を見に駆けつけると…。山から下りてくる数人の猟友会の皆さんの姿が。ロープで重そうに引っ張っているのは、丸々としたイノシシです!地元の方の間でもなかなか見られない光景、集まった皆さんは大興奮。育さんも「この現場は初めて見た」と驚きを隠せません。そして夕方、谷山家のガレージに沢山の人が集まりました。実はこの日、「しし鍋懇親会」が行われる日だったんです。撃ったばかりのものではなく、4日間熟成させたしし肉で丁寧に出汁をとり、煮込むしし鍋。嵯峨谷の冬の大ご馳走に、口々に「うまい!」の声が上がります。様々な話題で宴はさらに盛り上がりました。

二地域居住を満喫する谷山さんご夫婦の自宅は、ベッドタウンとして知られる大阪・河内長野市にあります。家の中の大部分は育さんのアトリエになっていて、画材や作品が所狭しと置かれています。ここもまた、育さんの暮らしに欠かせない「絵に集中できる場所」。街の暮らしは、夫婦それぞれに楽しみがあります。お洒落をして悦子さんが向かったのは、健康体操仲間・森脇さんが営む陶器のお店です。森脇さんが胸につけていた素敵なかんざしのブローチを、ついイノシシと見間違えてしまった悦子さん。話題は自然に嵯峨谷の山の話に。一方の育さんは、週1回のシルバー健康武道会に出かけました。体操や空手など、仲間と体を動かし、汗を流します。仲間のほとんどは嵯峨谷を訪ねたことがあり、ご夫婦は大阪と嵯峨谷の山をつなぐ役割もしています。

最近、嵯峨谷の集落に若い仲間がやってきました。31歳の若手・硲さんご夫婦と3歳の息子の一芽ちゃんです。田舎暮らしがしたいと物件探しをしていた時に、谷山さんご夫婦を紹介されたそう。その時「この村はええで〜」と嵯峨谷浦窪集落の良さを熱く語るお2人から話を聞いた硲さんご夫婦。「ここは大丈夫!」と確信し、移住を決めたそうです。
デザイナーの仕事をしている夫の勇さんは、田んぼの稲穂や、真っ赤な柿の色づきなど、集落で出会ったものからインスピレーションを受け、広告などのデザインに活かしています。アート仲間が増えたと、育さんは大喜び。また、子育て世代の移住に、「来てくれる人はウェルカム」と地域の皆さんもとても喜んでいるんです!

楽園通信

くにぎ広場

地元で採れた野菜や果物が集まる直売所です。江戸時代から続く橋本市の特産、極太で柔らかい伝統ゴボウ「はたごんぼ」や、このゴボウをくり抜いて酢飯を詰めた「はたごんぼ寿司」が人気です。

電話番号:0736-33-5288
営業時間:午前9時〜午後5時
定休日:火曜日

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