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2019年1月12日睦月の弐

大分・由布市
〜 豊後富士望む絶景そば 〜

舞台は湯煙たなびく温泉町、大分県由布市。町中から少し離れ、山道を登った先に“豊後富士”とも称される由布岳を望む絶景が現れます。そんな場所にある山小屋風の建物で、香り豊かな自家製蕎麦が自慢の“そばカフェ”を始めた、姫野豊春さん(59歳)と妻の泰子さん(55歳)が主人公です。
大分県に生まれ、紳士服販売の仕事をしていた豊春さん。23歳の時、泰子さんと結婚し2人の子供が生まれました。その後、自分の店が持ちたいと、34歳で会社を退職し古本やCDを売る店を起業します。仕事は軌道に乗り、店舗も拡大しました。しかし、電子書籍などネット社会へ徐々に移行、業界に陰りが見えたため事業を縮小することに。そして、由布市の山奥に土地を購入して家を建てました。「今後はゆっくり暮らし、食べてさえいければ良い」と考え始めていたご夫婦。ある時、住まいの近くに見晴らし抜群の土地を見つけます。「ここで何か店を始めよう。日本人なら蕎麦だ」そう思い立った豊春さん。53歳で蕎麦打ちを学び、家族で店を手づくり。2014年9月に「森のSobaCafe ゆふそら」をオープンしました。
豊春さんが毎朝、石臼で実を挽き、手打ちしている「ゆふそら」の蕎麦。細く美しい麺は、歯ごたえがあり、噛むほどに豊かな香りがします。つなぎを使わずに打つ「十割そば」は通に評判、大分名物のカボスを浮かべた「かぼすそば」なども人気です。さらに、大きな窓から望む、素晴らしい景色とともに頂く絶品のお蕎麦は、まさにごちそう!
明るく話好きな妻の泰子さんが接客担当。そして、仕事を辞めて、店に参加した長女の美保さんは蕎麦粉を使ったフランスの郷土料理、ガレットを担当しています。皮がパリッとして、具沢山のガレットは、いまやお蕎麦と並ぶ看板メニュー。忙しい土日には、泰子さんの母と叔母も助っ人として来てくれます。
また、近所の森にはご夫婦に家づくり全般を教えてくれた師匠や、何でも手作りして山暮らしを楽しむ愉快な仲間たちがたくさんいます。
真面目で研究熱心な蕎麦職人・豊春さんと、明るく店を盛り立てる妻の泰子さん。
手づくりした絶景のそばカフェで、幸せの日々を過ごしています。

店は、基礎と棟上げだけプロにお願いして、一家で1年半かけて建てました。内装にもこだわっています。壁に貼っているレンガ…実は木片を長方形に切って色を塗ったもの。大きなテーブル、これは柱などに使う角材を貼り合わせて一枚板のように見せました。
お金をかけずに工夫を凝らしています。そして、何よりご夫婦が見せたかったのは、窓から望む素晴らしい景色。正面には、“豊後富士”湯布院のシンボル「由布岳」がでんと構え、湯煙たなびく湯布院の町を一望できます。四季や時間によってもどんどん移り変わっていく風景は、見飽きることがありません。

営業日。蕎麦職人・豊春さんの1日は、夜明けから始まります。石臼で蕎麦の実を挽き、その間につゆの仕込みです。羅臼昆布と2種類のカツオ節をブレンドしてダシを取り、かえしと混ぜて作ります。自家製つゆは、甘めのしょう油を使い、九州のお客さんの好みに合うように少し甘口にアレンジ。均一の味にするため、豊春さんは全てきっちり計量することを大切にしています。蕎麦粉を挽き終え、のしの後は1番神経を使う蕎麦切り。麺の幅は1.2mmとかなり細いです。そんな豊春さんのお蕎麦は、しっかりとした歯ごたえがあり、噛むほどに豊かな香りが楽しめると評判です。

「ゆふそら」もう1つの名物は、蕎麦粉を使ったフランスの郷土料理“ガレット”。フレンチの名店でガレット作りを学んだ長女の美保さんが担当です。少し塩味の効いたパリパリ・モチモチの生地に具材がたっぷり入ったガレットは蕎麦と並ぶ看板メニュー。蕎麦より注文が多い時もあって、厨房では豊春さんがガッカリ…なんてことも。また、忙しい土日には、泰子さんの母・定子さんと叔母の君子さんが助っ人に来てくれます。定子さんは、三つ葉をくるっと可愛らしく丸めて蕎麦にのせる飾りを考案。楽しく働いてくれています。家族みんなに支えられているお店です。

この日、ご夫婦はかねてから憧れていた場所に向かいました。いつも店から眺めていた由布岳の登山口です。お2人は「いつか登ってやるぞ!」と山登りの装備も準備していました。今回は、由布岳の山頂を目指すのではなく、足慣らしに少し低めの「飯盛ヶ城」までを目標に決めて出発。店のお客さんから「1時間もかからない」と聞いていたのですが…1時間経ってもなかなか辿り着きません。それでも看板を頼りに登り続け、無事到着。見上げれば、頂に雪をのせた由布岳の山頂が間近に迫っていました!ご夫婦は「次の目標はあそこだ!」と意気込んでいました。

ご夫婦が暮らす森。お隣には山暮らしの師匠がいます。御年80歳の坂木さん。別府市に暮らし、時折この森にある“霧の宿”と名付けた家に通って来ます。森を一望できるテラス、キッチンや居間。見晴らし抜群の風呂など、全て坂木さんが1年半かけて手づくり。そんな師匠からご夫婦は多くの刺激を受け、自分たちで家や店を建てました。山暮らしの基本、家づくり等、様々なことを教わりました。また近頃では、森に愉快な仲間たちが増えています。仕事を退職後、森の中でレコードを楽しめるリスニングルームを開設した加藤さん。また、ピザ釜作りに奮闘中の若手・足達さんは、間もなくピザ店を開く予定です。森にどんどん、楽しみが広がっています。

楽園通信

由布市役所 商工観光課

標高1584m、登山客に人気の由布岳や、その麓にある九州屈指の名湯・由布院温泉など見所がいっぱいです。由布市に関する観光情報はこちらまでお問い合わせ下さい。

電話番号:097-582-1304
問い合わせ:平日午前8時30分〜午後5時

森のSobaCafe ゆふそら

由布岳の絶景を眺めながら、香り豊かな蕎麦やガレット等が味わえます。「十割そば」は1日10食限定。その他の二八蕎麦は30食限定です。
店主・豊春さんが一人で打っているため、売り切れの際はご了承下さい!

【メニュー】
十割そば:1,000円(税別)※1日10食限定
ガレット・コンプレット:800円(税別)
営業時間:午前11時〜午後5時
定休日:水・木曜※祝日の場合は営業

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