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2018年12月15日師走の参

石川・金沢市
〜 故郷愛する町屋カフェ 〜

加賀百万石の城下町・石川県金沢市が舞台。観光スポットとして人気の「ひがし茶屋街」近くに、朱色のべんがら塗りが特徴的な築90年の町屋があります。主人公・桑島雄三さん(63歳)は、かつて祖母が住んでいたこの風情ある建物で、去年、週末営業のカフェを始めました。
金沢市で生まれ育った雄三さんは、三男坊で、おばあちゃん子。祖母・俦子さんが暮らしていた町屋や、風情ある金沢の町が大好きな少年でした。大学進学とともに上京、卒業後は食品を扱う仕事に就きます。25歳で妻の千春さんと結婚し、東京でバリバリと働いていました。しかし、祖母が亡くなり、その後町屋で茶道教室を開いていた母も帰らぬ人に。これをきっかけに雄三さんは、思い出の家について考え始めます。そして家を守りながら町屋の良さを多くの人に知ってもらいたいと、カフェを開くことを決意。妻の千春さんや兄の秀幸さんの後押しもあり、61歳で退職し単身で祖母の家へ移り住むことにしました。そして、改装を済ませた去年の夏、「カフェくわじま」をオープン。
自分自身も故郷での暮らしを満喫したいと、営業は土日・祝日だけと決めた雄三さん。休みの日にはカメラを片手に茶屋街周辺を散策し、故郷の魅力を撮影してインターネットで発信しています。
築90年の趣ある町屋に単身Uターンして2年。昔は目を向けなかった金沢の文化に触れては日々を楽しみ、沢山の仲間やお客さんと繋がり、にぎやかに交流する雄三さん。単身生活は毎日が充実しています。

お店で出しているのはコーヒや加賀棒茶、加賀野菜をトッピングしたカレーなど。中庭がある町屋の佇まいや、ゆったりした和室の居心の地良さが人気です。他にもお店には、雄三さんのユニークなアイデアが満載!店内には、雄三さんが趣味で集めた1000冊以上の古い漫画本がずらりと並び、時を忘れて読みふけるお客さんも。また、イラストが得意な雄三さんがタブレットで描く似顔絵も好評です。本来は1枚500円ですが、その場の雰囲気によってはサービスで描いてしまうことも…。

この日、桑島家3代のお付き合いのある庭師の槻さんがやって来て、金沢で冬の風物詩として知られる「雪吊り」作業が始まりました。雪の重さから樹木を守るための伝統的な技です。偶然通りかかった外国人観光客の皆さんも珍しい光景に驚き、足を止めます。結局、完成まで見届けてくれました。最後は槻さんと皆さんで記念撮影まで…。海外の方が金沢の文化に興味を持ってくれたことが本当に嬉しい雄三さん。楽しい1日になりました。

完全予約制で居酒屋もしている雄三さん。地元の食材に目を向けてほしいと、なるべく金沢のブランド「加賀野菜」や近江町市場で仕入れる新鮮な魚介類などを使うようにしています。この日は、「アカラバチメのアクアパッツァ」や、「源助だいこんと手羽の煮物」など全部で15品が並びました。畳の部屋で会話も進み、アットホームな雰囲気だけに、気がつけば雄三さんもお客さんと一緒に「乾杯〜!」。でもこれが、いつものスタイルなんです。

近所には沢山の町屋仲間がいます。雄三さんが師匠と仰ぐ本多さん夫婦は、古本カフェを営んでいます。雄三さんが店を開く際にあらゆるバックアップをしてくました。近所に暮らすグラフィックデザイナーの勘村さん、舞踊家の宇都宮さんなど、町屋で様々な活動をする仲間達を紹介してもらい友達の輪が広がりました。今ではしょっちゅう集まっては飲み会を開く仲。ジャンルの違う仲間と互いに刺激し合い金沢の魅力を再発見する毎日です。

楽園通信

ほがらか村 本店

農家から直接届く、旬の加賀野菜が数多く並ぶ直売所です。規格外品も扱っており、リーズナブルに買えます。

電話:076-237-0641
営業時間:午前8時30分〜午後6時
※1・2月は午前9時〜午後6時
定休日:年末年始

カフェくわじま

町屋の風情が楽しめるカフェ。名物は伝統的な町屋でゆったり飲むお茶と、雄三さんのおしゃべりです。カフェの漫画は閲覧専用で、販売はしていません。

営業日:土・日曜・祝日
営業時間:午前10時〜午後6時
加賀棒茶と和菓子セット:700円
コーヒー:500円

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