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2017年11月11日霜月の弐

島根・川本町
〜 エゴマで故郷を元気に! 〜

島根県川本町が舞台。自然豊かな町でエゴマを栽培し、長年かけて町おこしを進めてきた竹下禎彦さん(77歳)と妻の美智子さん(78歳)が主人公です。
川本町出身の禎彦さんは、まじめできっちりした性格。郵便局に勤め、配達などの仕事を担当していました。39歳の時に、知人の紹介で知り合った養護教員の美智子さんと結婚。50代で早期退職したのち、両親の田畑を継ぎます。その背景にあったのは、時代の流れと共に、故郷の風景が様変わりしていたこと。かつては周囲に広がっていた豊かな田園風景が、休耕田となり荒れはじめたことに、禎彦さんは心を痛めました。常々、田畑の有効活用について思いを巡らせていた禎彦さんが目を付けたのが「エゴマ」でした。60歳を過ぎた頃、エゴマの種を手に入れ、独学で栽培をスタート。その後、地元の人たちにも「一緒に栽培しよう」と呼びかけ、仲間たちも加わり地域ぐるみでエゴマを育て始めます。この時、結成されたのが「川本エゴマの会」。みんなで試行錯誤を繰り返しながら、栽培経験を重ね、禎彦さんは油を絞るために必要な機械を徐々に買い揃え、15年の間に絞り機・乾燥機・家の改装と進めていきました。最初は無関心だった美智子さんも、エゴマを通じて広がっていく交流に生きがいを感じ、今は全面協力しています。
ご夫婦が栽培するエゴマ、油になるまでの工程は手間暇がかかります。収穫し、乾かして脱穀、ごみを取り除き、何度も洗浄。そして、低温で実を乾燥させてから、ようやく搾油。そのほとんどは、ご夫婦の手作業です。最後に油のビン詰めをし、ラベル貼りをする際は、禎彦さんのきっちりした性格が出て、少しでもずれると貼り直し。大らかなタイプの美智子さんと喧嘩になる事も。
禎彦さんがエゴマに出会ってから15年。今や地域を巻き込み、エゴマは川本町の特産となりました。さらに美智子さんは、もっとエゴマを知ってもらおうと、自宅のわきにエゴマを使った料理やスイーツを出すカフェも始めるなど、78歳にして新たなチャレンジを続けています。
お二人の「人生を変えた」というエゴマとの出会い。70代後半の竹下さんご夫婦の毎日は、生き生きしてとても充実しています。

カラカラに乾燥させたエゴマの穂を、バンバンと棒で叩くご夫婦。すると穂から沢山の実がぱらぱらと落ちてきます。これは、手作業による脱穀。「なるべく実に熱をかけたくない」と、ご夫婦は機械に頼らず、昔ながらの方法で脱穀をしているんです。この方法では実に傷もつきにくいため、より美味しい油がとれるといいます。
「いいものを作るという事がモットー、手間暇は考えてない」禎彦さんのこだわりです。

30名が在籍する「川本エゴマの会」。会員、山下さんの畑に仲間たちが集まり、収穫作業が始まりました。体調を崩した山下さんのために、仲間が一丸となってお手伝い。
しかし、最初に禎彦さんが「みんなでエゴマを育てよう」と呼びかけた時は、みんな半信半疑でした。仲間たちも過去を振り返って「そんなものを育てたって…とぼろくそだった」「こんなにいいものとは知らなかった」と語ります。今は皆さん、生きがいを持ってエゴマ栽培をしています。

エゴマを育てる仲間の中に、期待の星がいます。46歳の柴原伸行さんは、エゴマ栽培を目指し、千葉県から移住してきた若手。かつてエゴマのことをインターネットで検索していた柴原さんは、禎彦さんの情報をみつけ、そこに掲載されていた禎彦さんの笑顔を見て「ぜひ川本町に行ってみたい」と感じたそうです。5枚の畑でエゴマを栽培し、自らのブランドを作り、エゴマ油を出荷している柴原さん。禎彦さんは将来を担う存在として、心から期待しています。

会員から届いたエゴマの実を庭に広げ、洗浄作業を始めた竹下さんご夫婦。美智子さんは実を桶に入れ流水で丁寧に洗います。この時、下に沈んだ実は使ってはいけない劣化した実。洗っては上澄みの良い実をすくい、再び洗って…を4度ほど繰り返します。さらに禎彦さんが専用の洗浄機を使って、完璧に実をきれいにしていくんです。竹下家にはこの洗浄機を含め、搾油機や乾燥機など沢山の機械があります。実はかなりのお値段…。美智子さんが老後のために貯金していたお金も「貸して」と機械を買うために使ってしまった禎彦さん。「返す返すって言って、全然返してくれない!」と笑いながら愚痴を言う美智子さん。内心は認めているんですね。

自宅に設けた搾油所で、禎彦さんがエゴマの油を搾ります。6キロの実を機械に入れ、圧力をかけ、油を搾り出します。絞り出されたエゴマ油は2リットルほど。ここまですべて手作業、大変な工程を経て、黄金色に輝きながら流れ出る油。それを見た禎彦さんは「感無量ですね、苦労の結晶です」と嬉しそう。会のメンバーが育てた実から作るエゴマ油やお茶などの加工品は、いまや川本町を代表する特産品。禎彦さんのアイデアが実を結び「川本町といえばエゴマ」となりました。

楽園通信

川本町観光協会

山々に囲まれ、自然豊かな川本町。
観光や特産品については、こちらにお問い合わせください。
また、竹下さんが搾る「エゴマ油」は、本年度分は予約で完売しました。
ご了承下さい。

電話番号:0855-74-2345

かわもと暮らし情報センター

川本町への移住情報はこちらにお問い合わせください。
移住や定住についての相談窓口です。

電話番号:0855-74-2110

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