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2017年10月7日神無月の壱

三重・いなべ市
〜 秋の山里 ひきたて蕎麦店 〜

蕎麦の生産量県内一を誇る三重県いなべ市が舞台。この町で蕎麦店を始めた松下祐康さん(62歳)と清子さん(60歳)が主人公です。
いなべ市出身の祐康さんは、高校を卒業後に藤原町(現:いなべ市藤原町)役場に就職。25歳の時に看護師をしていた清子さんと結婚し、2人の子どもが生まれました。
役場では、地域振興に関わる仕事をしていた祐康さん。2002年に休耕田を活用した蕎麦栽培が始まり、有志で蕎麦打ちを習い始めることになりました。祐康さんもそれに加わり、52歳で蕎麦打ちを始めました。そんな祐康さんに転機が訪れたのは55歳の時。一緒に暮らしていた父・幸一さんが81歳で他界し、幸一さんが手をかけていた畑を祐康さんが受け継ぐことになったのです。役場勤めをしながら畑作業に励んだ祐康さんは、やがて育てた野菜と長年の趣味で打ってきた蕎麦を提供する農家レストランを始めようと考えました。そこで59歳の時に役場を早期退職。自宅を改装し、2015年に「山里乃蕎麦家・拘留孫(くるそん)」をオープンしました。店名は自宅裏にそびえる「拘留孫岳」に因んでつけました。
営業は土曜から火曜の週4日。蕎麦は営業日の朝に祐康さんが打ち、蕎麦と一緒に出す天ぷらや惣菜は清子さんが作ります。週末は開店早々満席になる程の盛況ぶりです。
父親から受け継いだ畑を守り、そこで育てた野菜と特産の蕎麦を提供したいと、蕎麦店を始めた松下さん夫婦の暮らしぶりを紹介します。

地元の同級生から仕入れた蕎麦の実を、祐康さんは自分で脱穀・製粉し、営業日の朝に蕎麦打ちをします。1回の蕎麦打ちは1時間。これを2〜3回繰り返し、30〜50人前の蕎麦を用意します。趣味で始めた蕎麦打ちが、今では手触りで粉の良し悪しが分かるほどになり、まさに職人です。

蕎麦以外の調理は清子さんの担当。自宅前の畑から料理に使う野菜を収穫します。ナスとツルムラサキは天ぷらに、ゴーヤとシカクマメはおかずの3種盛りに使いました。お店を始めるまでは家族の食事しか作ってこなかったという清子さんですが、そんな清子さんの田舎料理が美味しいと評判です。

もともと父・幸一さんが手をかけてきた畑は、幸一さんが病気になったことで、祐康さんが受け継ぐことになりました。野菜の作付けや育て方について記録した幸一さんのファイルをもとに、慣れない畑作業に励みました。「俺の畑より綺麗になってきたな」という父の言葉は、今でも忘れることが出来ません。

この日は、いなべ市内の焼肉店で、「山里乃蕎麦家 拘留孫」2周年の宴です。日頃お店を手伝ってくれているご近所の方々と娘の桂子さんご夫婦が集まりました。普段は寡黙な祐康さんの口から、清子さんへの感謝の言葉が出てきました。色々な思いがこみ上げてきた清子さんの目には涙が浮かびます。

楽園通信

山里乃蕎麦家 拘留孫(くるそん)

松下さんご夫婦の蕎麦店。毎朝祐康さんが打った蕎麦を提供していて、十割と二八が選べます。人気の「蕎麦ランチ」や「蕎麦定食」につくおかずは清子さんの手料理。家の畑から採れた野菜を使っています。
新蕎麦は11月中旬入荷予定です。

電話番号:0594-46-3181
営業日:土・日・月・火曜
営業時間:午前11時30分〜午後2時30分
     ※蕎麦がなくなり次第終了

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