今回は、鹿児島県鹿屋市が舞台。海が見える畑で野菜や果物を育てながら、加工品を作り、販売する「みのだ夢来(むら)工房」を開いた蓑田繼男(みのだつぎお)さん(66歳)と、妻のみさ子さん(58歳)が主人公です。
鹿児島県錦江町の農家に生まれた繼男さんは高校を卒業後、働きながら勉強を続け、教員免許を取得。県内の農業高校の教員として食品加工などを指導しました。みさ子さんも40代の一時期、町役場に勤め、加工所の管理を担当。“食を通して人と繋がる喜び”を知ったお二人は、繼男さんの最後の赴任地であり、みさ子さんの出身地だった鹿屋市に農地を購入。自宅と加工場を建て、繼男さんが定年を迎えた2010年、「みのだ夢来工房」を始めました。オープンから5年経ち、夫婦二人で野菜や果物の栽培から収穫、加工、販売までを行う食品工房は、今では地域の憩いの場にもなっています。
“素朴な故郷の味を伝え、地域を活性化したい”と願う蓑田さんご夫婦の充実した毎日を紹介します。
工房の前には、蓑田さんご夫婦の畑があります。商品に使う野菜のほとんどが自家製で、農薬を使わずに育てています。2200坪の畑で収穫される野菜は年間30種類以上。夫婦二人ですが、楽しみながら旬を感じて作業しています。
お菓子や漬け物など、蓑田さんご夫婦が5年間で作ったオリジナル商品はおよそ50種類。一番人気の「玉葱ドレッシング」は油控えめでコクがあり、サラダはもちろん、お豆腐やお肉にも合うと評判です。
ご夫婦が暮らす地区のお祭りでは「みのだ夢来(むら)工房」のオリジナル商品とともに、「こっぱ餅」や「ふくれ菓子」などが並びました。昔から親しまれてきたおやつは、お年寄りから若い方まで大好評。お二人の思いが伝わったようです。
蓑田さんご夫婦が工房にやって来た仲間にかける言葉は「ちゃいっぺ」。この地方の言葉で「お茶を一杯どうぞ」という意味です。工房にはいつも笑顔があふれています。“みんなの憩いの場を作りたい”それがお二人の夢でした。