舞台は雪国東北、山形市が舞台。3年前、勤めていた会社を早期退職し、こけし職人になった梅木直美さん(48歳)が主人公です。
山形市で生まれ育った直美さん。母親が亡くなった事で父・修一さんと暮らし始めます。週末には、修一さんが作ったこけしの木地に絵付けをするようになりました。次第にこけし愛好家たちの間で直美さんが絵付けしたこけしが人気となり、「直美さんが木地から作ったこけしが欲しい!」と言われるようになりました。修一さんも高齢になり、「木地挽きを教わるなら今しかない」と思い、退職を決意した直美さん。その後、本格的にこけし作りに取り組み始め、2年前からようやく木地挽きをさせてもらえるようになりました。まだ全ての工程を任されてはいないですが、師匠の背中を見て技を盗み、伝統のこけし作りを受け継いでいこうと頑張っています。直美さんと厳しくも温かく指導する修一さんを紹介します。
こけしと一言でいえども、11系統に分けることが出来ます。頭を回すと音が鳴る『宮城・鳴子(なるこ)系』や頭と胴が1本の木で作られた『秋田・木地山(きじやま)系』などそれぞれ特徴があります。直美さんが作っているのは胴に菊や桜などを描く『山形・蔵王系』。1つ1つ手書きのため表情も違います。好きなこけしを見つけてみてはいかがでしょうか。
工房に入ると“お父さん”ではなく“師匠”になります。師匠が来る前にストーブに木くずを入れて燃やし、工房内を温めるのが直美さんの朝一番の仕事です。角材から円柱にし、“カンナ棒”で頭部を丸く削っていきます。完成した生地に絵付けをし、ロウで磨きをかけ頭と胴をつなげてようやくこけしの完成です。1つ1つ手作りのこけしは手間暇がかかっています。
この日、天童市の蕎麦店「やま竹」にやってきた直美さん。店主の國井さんと飲み屋で知り合い、店内にこけしを置かせてもらっています。伝統こけしの他に猫の顔を描いた“猫こけし”や背面に羽をあしらった“天使こけし”など直美さんが考案したこけしも販売しています。伝統を残しつつ、もっと多くの人にこけしを手に取ってほしいと工夫を凝らしています。
年に1度開催される「ミニかまくら祭り」。会場には大小様々なかまくらが作られました。夕暮れと共にかまくらにセットされたロウソク3000個が灯され、温かな光に包まり、幻想的な光景が河川敷一帯に広がります。山形名物・玉こんにゃく600本を訪れた町民に振る舞い、身も心も温まるお祭りになりました。