舞台は大分県竹田市。自宅の2階にある小さな部屋でワイン作りを始めた髙倉敬志郎さん(53歳)と幸歌さん(48歳)が主人公です。
趣味で参加していたジャズバンドの仲間にワインを勧められ、その奥深い味わいに惹かれた敬志郎さん。2002年、勤めていた会社が希望退職者を募り始めた時、“自分で育てたブドウでワインを作りたい”という夢を描いて早期退職。大分県竹田市に畑を購入してブドウ農家となりました。2005年に幸歌さんと結婚、夫婦二人三脚で農園の準備をしながらワイン作りを目指すことに。二人の度重なる交渉の末、竹田市が小規模でもワインの製造免許がとれる「ワイン特区」に認定され、2012年の春、初めて自分たちのブドウで作ったワインが完成しました。しかし、卸し販売できる規定の生産量には満たないため、「ワインを振舞う場所を作ろう」と、自宅で農家民泊をオープン。いつの日か、自分たちのワインを店頭にならべたいと願っています。髙倉さんご夫婦が目指すワインは、飲む人に“幸せを運ぶワイン”。地域の人たちや友人たちに助けられながら夢を追い続ける、お二人の暮らしをご紹介します。
『髙倉ぶどう園』では、ワイン用に使われる山ぶどうの他に10種類以上のぶどうを育てています。40代で早期退職し、ぶどう農家になった敬志郎さん。初めてのワインが出来上がるまでに10年の歳月がかかりました。まだワインの生産量が少ないため市場販売はできませんが、「飲む人に幸せを運びたい」と、夫婦で夢を追い続けています。
赤ワインの原料となる山ぶどうは、傷などがついた実を取り除く“選果”を行なった後、枝から実を外す“除梗(じょこう)”という作業に入ります。全ての工程を、しっかりと手作業で進めるお二人。目で見て確かめながら行なうことによって、より適した実だけが残り、ワインの味も良くなるそうです。
日が暮れてもワインの仕込みを続ける髙倉さんご夫婦。時間をかけて除梗した果実を、絶妙な力加減で潰していきます。それを一晩寝かせ、翌日に酵母を混ぜて、浮かんでくる皮と種を沈めながら発酵させます。様々な工程を経てビン詰めが出来るのは来年の春。完成させるまで気が抜けません。
ぶどうの最盛期を迎えると、友人たちが収穫の手伝いに来てくれます。そして作業の後は、感謝の宴。幸歌(ゆきか)さんが腕を振るった、“山ぶどうのワインに合う料理”が並びました。どんな時も支えてくれる友人たちに感謝している髙倉さんご夫婦です。