北海道の東部、酪農地帯が広がる中標津町が舞台。亡き父が残した私設の公園内で喫茶店を営む、根岸優子さん(63歳)と夫の弘雄さん(68歳)が主人公です。
優子さんの父・保苅巖(ほかりいわお)さんは生前、所有する9万坪の土地を整備し、公園として開放していました。しかし巖さんが亡くなってから、公園は次第に荒れ、訪れる人もすっかり減ってしまいました。そこで優子さんは、父の残した公園に再び人を呼びたいと、2013年6月、園内に「軽食喫茶ほかりこうえん」をオープン。
ジャガイモを使ったガレットを始め、豊富なメニューと、店内から眺める美しい景色が人気となり、再び人々が訪れるようになりました。
父の残した公園をいつまでも守ろうと喫茶店を営む、根岸さんご夫婦を紹介します。
優子さんの父・巖さんが残した保苅公園には、大きな池やグランドがあります。広さはおよそ9万坪。かつては地元の幼稚園児や小学生が遠足に来ることもありました。もう一度、あの頃のようになって欲しいと、優子さんは「軽食喫茶ほかりこうえん」を営んでいます。
お店の看板メニューは、なんと言ってもガレット。ガレットはそば粉を使うのが一般的ですが、優子さんはジャガイモを使ってモチモチとした食感に仕上げています。他にもヨモギやコーンを生地に練り込んだものや、ジンギスカンや牛乳豆腐を具材にした珍しいガレットもあります。
喫茶店を営む優子さんを支え、公園の草刈りなどをする弘雄さん。この時期は草がすぐに伸びるので、いくら刈っても時間が足りません。当時、義父・巖さんが地道に整備し続けるのを見ていた弘雄さん。保苅公園に対する熱い思いは、優子さんにも決して負けません。美しい公園を守るために、弘雄さんも日々奮闘しています。
午前11時から夜10時まで営業している「軽食喫茶ほかりこうえん」。昼間は、子ども連れの家族やサラリーマンなどのお客様が、料理と景色を楽しんでいきます。夜は、昔の公園を知る地元の常連さんたちが訪れては、他愛ない昔話に花を咲かせて楽しんでいます。
園内の池の水位が浅くなったため、家族が集まって池底の砂取りが行われました。無事に作業が終わった後は、喫茶店の開店2周年を祝うバーベキューパーティー。父が残した“宝物”をいつまでも大切にしたい、と願う家族たちによって、保苅公園は守られています。