舞台は、兵庫県丹波市。静かな山の中で、自家栽培のお米や野菜をふんだんに使った農家レストランを始めた生田智子さん(43歳)と雅和さん(52歳)が主人公です。
大阪で働いていた雅和さんは37歳の時に脱サラし、篠山市で『いくた農園』を始めました。しかし、初めは野菜がうまく育たず、失敗ばかり。そんな時、手伝いに来てくれたのがサラリーマン時代の仲間で、その中の一人に智子さんがいました。その後、お二人は結婚。『いくた農園』にも、美味しい野菜が育つようになりました。ようやく農家としての道を順調に歩み始めたお二人。やがてご夫婦の心には、ある思いが生まれました。「“美味しい”という声を直接聞きたい!」。そこで、その願いを叶えるため、丹波市にあった空き家を購入して改装、去年12月に『おにぎりと野菜のレストラン 千華(せんか)』をオープンさせました。
開店から半年が経った今、お客さんの「美味しい」の声を励みに、野菜作りもレストランも頑張る生田さんご夫婦。毎日が輝いています!
『千華』がオープンして半年。まだ慣れない作業も多く、普段は農園のスタッフとして活躍している地元のママさん方にも手伝ってもらっています。“包丁さばきが苦手なミワちゃん”こと向井美和さんと、“食いしん坊のミッチー”こと長澤三千代さん。チームワークも良く、和気あいあいと仕込みをしている3人ですが、予定より早くお客さんが来ると厨房は大慌て。本日も『千華』開店です!
丹波市のお隣、篠山市にある『いくた農園』。ここで、レストランで使うお米や野菜を育てています。この日はえんどう豆の初収穫。「甘みが自慢」というえんどう豆を糖度計で計ってみると…なんと18%!桃よりも甘い、大粒のえんどう豆が育ちました。美味しい野菜が育つ土壌を作るため、試行錯誤を繰り返してきた雅和さん。これまで苦労してきた分、誇りを持って「美味しい」と自慢できる野菜なのです。
厨房での仕事が一段落すると、客席に顔を出す智子さん。お客さんとの交流を大切にしながら、料理が口にあったか、さりげなく尋ねます。すると皆さんから次々に「美味しい!」「本当に美味しかった!」のうれしい声…。智子さんの目に思わず涙があふれます。この“美味しい”の声が聞きたくて始めたお店。心から願っていたその言葉を聞くことが、毎日を頑張る糧となっています。
お隣に住む大岡さん。お二人にとって、『千華』を開いた時から何かとお世話になっている恩人です。この日も、お店の入り口の脇にベンチを作ってくれました。軽く6人は座れる折りたたみ式のベンチには、「行列が出来るようなお店になってほしい」というご夫婦の願いも込められています。こうしていつも生田さんご夫婦を助けてくれる大岡さん。まさに“縁の下の力持ち”です。