舞台は福岡県行橋市。中学校技術科の教師を早期退職し、「もの作り工房 技術室」を開いた原義和さん(56歳)が主人公です。
行橋市出身の義和さんは大学卒業後、地元の中学校教師となり、28歳で同僚の養護教員だった照美さんと結婚。40代半ばから『定年後は趣味の工作室を』と考え、少しずつ工作機械を購入、中学校に保管していました。そして去年3月、母親の介護のために早期退職した義和さんは、趣味の工作室を建て始めます。やがてこれを、誰もが利用できるレンタル工房に、と考え直し、去年8月「もの作り工房 技術室」をオープンさせました。
今も“もの作り”に熱中する元中学校教師・原義和さん、楽しくも忙しい暮らしぶりを紹介します。
「もの作り工房 技術室」には木工旋盤やボール盤といった工作機械が置かれ、壁にはハンマーなどの工具がずらり。もの作りの楽しさ、面白さを一人でも多くの人に体験してもらいたい、という義和さんの願いが込められています。そして義和さん自身も、皆さんから“もの作り”を学びながら作品を製作し、工房の一角に展示しています。
義和さんにとってはコーヒーを淹れるのも“もの作り”です。工房奥のカウンターにはコーヒー作りの道具が揃えてあります。生豆から焙煎して挽きたてを淹れて出す、という工程が好きだと義和さんは語ります。
そのコーヒー豆は、教え子が営む「自家製焙煎珈琲」の店で購入しています。コーヒーを通して、今もホットな関係が続いています。
もの作りが楽しくて…。そんな人生を送ってきた義和さんには、退職後も様々な工作の依頼が舞い込みます。元勤務先の行橋中学校野球部からは、「練習で使うティーバッティング用の道具を作って欲しい」という依頼が届きました。「自分が作ったものを生徒に使ってもらってとてもうれしい」と、義和さんは誇らしげです。
“もの作り”の幅を広げたいという義和さんは、工房で「トンボ玉体験」や「革細工教室」などの“もの作り教室”も開いています。この日は義和さん主催の『パソコンでゲームのプログラムを作る教室』。市の広報誌に募集をかけたところ、二日間で10人の小学生が応募してくれました。ものを作る楽しさは、子どもたちにもしっかりと伝わっています。