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【12月13日放送】
楽園の住人
師走の弐 静岡・静岡市
〜“昭和”を楽しむ山暮らし〜

今回の舞台は、静岡県静岡市葵区鍵穴地区。ここに単身移住し、田舎暮らしを始めた杉村三郎さん(70歳)が主人公です。
三郎さんは、運転士として旧国鉄に勤めていました。41歳の時、国鉄の民営化を機にレストラン部門に異動。慣れない仕事で忙しい日々を送る中、三郎さんを癒してくれたのは、趣味で始めた陶芸でした。やがて「自分の窯を持ちたい」という夢が芽生え始め、65歳でリタイアした後に自然に囲まれて陶芸に没頭できる移住先を探し始めました。そして見つけたのが、山里にある一軒の古民家でした。床も朽ち、壁も所々剥がれ落ちていましたが、台所にあった“竃(かまど)”に一目惚れ。市の補助金制度を使い、友人の力も借りながら、半年かけて古民家を改装、昨年7月、単身でこの鍵穴地区に移住しました。
竃でご飯を炊き、囲炉裏を囲んで仲間とお酒を酌み交わす…懐かしい昭和30年代の暮らしを満喫しながら、趣味の陶芸を存分に楽しんでいる杉村三郎さんを紹介します。

元々お茶の加工場だった建物を工房としてよみがえらせ、陶芸を楽しんでいる三郎さん。時々、教室を開いて地元のお年寄りたちに陶芸の楽しさを教えています。この日開催された陶芸教室には4名が参加。初めて触れる粘土に戸惑い、悪戦苦闘することおよそ1時間…。思い描いた形とは違うけれど、どれも味のある素敵な作品になりました。

妻の照子さんは、共働きしている長男夫婦のため、幼いお孫さんの面倒を見ながら市街地で暮らしています。玄関や居間、洗面台など、自宅の至るところに三郎さんの焼き物が飾られています。どれもこれも、照子さんが大好きな宝物です。

移住して1年半。長年の夢だった“自分の窯”が完成し、待ち焦がれた初窯(新しく作った窯に初めて火を入れること)の日を迎えました。庭には町内会のテントが張られ、家族や友人、地元の方々など多くの人が、三郎さんの門出を祝おうと駆けつけてくれました。煙突から煙が立ち上ると同時に、拍手が沸き起こります。“無事に焼けますように…”皆の願いがこもった窯です。

初窯から1週間。いよいよ作品を取り出す日がやってきました。窯の入口をふさいでいたレンガを一つずつ外し、次第に姿を現した作品に、思わず笑みを浮かべる三郎さん。丁寧に作品を取り出していきました。それぞれの思いが詰まった器を前に、嬉しそうに歓談する人たち。「地元の皆さん、そして妻に感謝したい」と感無量の三郎さんでした。

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静岡市役所
中山間地振興課 企画課

静岡市では山里に移住する人を対象に補助制度を設けています。詳しくはお問い合わせください。

電話:054-294-8805
問い合わせ時間:
午前8時30分〜午後5時15分
(平日のみ)

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