舞台は岡山県真庭市。「そば処 やま田」を営む山田誠二さん(65歳)と美津子さん(66歳)ご夫婦が主人公です。野球に打ち込み、高校卒業時にはドラフト指名も受けた誠二さんは、大学でも野球を続け、さらに社会人野球に進みます。引退してからは営業マンとして仕事漬けの毎日でしたが、60代を前に趣味として蕎麦打ちを習い始めました。
2011年に退職し、夫婦で真庭市に帰ると、誠二さんは荒れ放題だった実家の畑で蕎麦を栽培し始めました。そして、その収穫を手伝ってくれた地元の友人たちに手打ち蕎麦を振舞ったところ、これが大好評。「店をやればええのに」と勧められ、次第にその気になっていった誠二さん。しかし、実際に「そば処 やま田」をオープンするまでには、驚きのエピソードがありました。
猪突猛進でマイペースな夫。そして、その夫に手を焼きながらも、しっかりと支える妻。友人たちが集う、あったかいお蕎麦屋さんをご紹介します。
美津子さんに反対されることを恐れ、お店を始める話を切り出せなかった誠二さん。そんな時、美津子さんが転んで骨折し、入院してしまいます。すると誠二さんは何も告げずに自宅を改装、そば屋を作ってしまったんです。退院して家に戻り、愕然とした美津子さんでしたが、今では誠二さんの熱い想いに納得して、一緒に店を切り盛りしてくれています。
営業日は、朝4時には仕込みが始まります。収穫した蕎麦の実を、こまめに挽いて使います。手早いながらも、じつに丁寧な誠二さんの仕事ぶり。心を込めて打っています。お蕎麦のつゆは、美津子さんが作ります。これが本当に美味しいと評判です。
午前11時、「そば処やま田」開店です。こちらは、徳島産のスダチをふんだんに入れた、温かいスダチそば。コクのあるつゆとスダチの酸味が絶妙で、これがお目当ての常連さんもいらっしゃいます。お店を始めたからこその、素晴らしい出会いもたくさんありました。
蕎麦の収穫が始まりました。手間はかかりますが、機械は使わず手で刈り取ります。たくさんの同級生たちが手伝いに来てくれました。
そして夜は収穫祭。美津子さんが皆さんの苦労をねぎらって、たっぷりの芋煮を準備してくれました。もちろん、お店の手打ちそばも味わいます。