舞台は京都府乙訓郡大山崎町です。伝統的な織物「つづれ織り」の作品を展示するギャラリーを開いた河野茂さん(65歳)と妻の淳子さん(61歳)が主人公です。
茂さんは「つづれ織り」の職人だった母のもとで育ちました。淳子さんは茂さんの母から、「つづれ織り」の手ほどきを受けるようになりました。二人の姿を見ていた茂さんも、「つづれ織り」を楽しむようになりました。そんな日々が続く中、茂さんの母は「つづれ織り」作品の展示会を開く夢を残し亡くなりました。茂さんは母の夢を受け継ぎ、2013年7月、工房兼ギャラリー 手織りつづれ工房「河野」を開きました。
「つづれ織り」作りを楽しむ、河野さん夫婦の暮らしを紹介します。
心地よい機織りの響き。糸が織り上げられていく様子を眺めていると、次第に癒やされてきます。河野さん夫婦は伝統的な「つづれ織り」を現代風にアレンジし、様々な作品を作っています。つづれ織りの魅力は、織りの独特のツヤと、使い込めば使い込むほど味が出てくることです。河野さん夫婦の作品を通じて、「つづれ織り」のファンが増えています。
自然の草木を使って染色をしています。ギャラリーの裏庭で、シュロの葉を摘み取り、色の元となる液体を作ります。その液体に白い絹糸を漬け込むと、黄金色の糸が出来上がりました。茂さんは黄金色の糸を使って、「つづれ織り」に取り掛かります。織り続けること5時間…秋にぴったりな「トンボの名刺入れ」が完成です。
ギャラリーで「藍染め体験会」を開催しました。摘み取った藍の葉に塩をふりかけ、約20分もんだら、そこに白い布を入れ、手で押しながら色を付けます。押し加減や染める布の風合いによって、色の付き方に違いが出ます。皆さんそれぞれ、素敵な藍色に染め上げることができました。
ギャラリーに仲間が集まりました。皆さん、ギャラリーのオープンを機に知り合い、今では「つづれ織り」の大ファンです。時折、屋外のデッキで“青空仲良しパーティー”を開催します!料理はそれぞれが持ち寄ったもの。参加者の一人は言います。「このギャラリーは、“仲間が集まる交差点”になっている」。茂さんと淳子さんが作る「つづれ織り」の作品が、みんなの笑顔をつないでいます。