舞台は広島県山県郡北広島町です。山あいの里にある浄謙寺で、イタリアン精進料理を振る舞う浄謙彰文さん(63歳)と妻の恭子さん(59歳)が主人公です。
寺の跡取りだった彰文さんは、恭子さんと一緒に地域のためになることをしたいと考えていました。7年前の母の日、恭子さんは長女からイタリアン精進料理のレシピ集をプレゼントされました。それをもとに作った料理は、家族や友人に大好評。二人はこれで地域に人を呼ぼうと、2009年7月、寺でイタリアン精進料理を始めました。
美味しい料理で里を元気にしている浄謙さん夫婦の暮らしを紹介します。
親鸞聖人が開いた浄土真宗の本願寺派浄謙寺。住職の法話を聞いた後に振る舞われるのは、目にも鮮やかなイタリアン精進料理のフルコースです。恭子さんは肉や魚を使わず、地元で採れた60種類以上の野菜で料理を作ります。この山あいの里に多くの人が来てほしい―そんな思いで恭子さんは精進料理を作っています。
精進料理を予約した参拝客が来る前日、恭子さんは野菜を仕入れるため近所を訪ねます。調理スタッフの中には、野菜作りを始めた方もいます。浄謙寺でイタリアンを始めたので使ってもらおうと、育てる野菜の種類はどんどん増えているそうです。イタリアン精進料理を中心に、みんなの輪が広がっています。
地元で作った米麹と大豆を使い、近所の仲間と味噌を作ります。かつてはそれぞれの家庭で作っていましたが、地域で何かを始めようと、去年からみんなが集まり作るようになりました。材料を混ぜ、機械でひいて団子状にした後、たるに投げ入れます。思い切りぶつけて空気を抜き、日頃のストレスも解消しているそうです。味噌が出来上がるのは一年後です。
浄謙寺に総勢30人の客がやってきました。ブルーベリー摘みとイタリアン精進料理のコラボレーションを楽しんでもらいます。秋にはリンゴ狩りとイタリアン精進料理をセットにした企画を考えています。
これからも美味しいイタリアン精進料理で里を元気にしていきます。