今回の舞台は茨城県桜川市です。以前から夢見ていた手打ちうどんの店を始めた谷中時男さん(58歳)と、夫を支える妻の和子さん(60歳)が主人公です。
20年ほど前に通った店のうどんに感動した時男さんは、いつの日かうどんの店を開きたいと考えていました。55歳で早期退職し、友人たちから資材を譲り受け、店を建て始めました。建築の専門家に教えを乞いながら、出来ることは1人で取り組み、3年かけてうどん店を完成させました。約3カ月間、うどんの打ち方を修業。“こね”と“足踏み”の基礎を学びます。こうして去年11月、地元の粉を使った「手打うどん 山ぼうし」はオープンしました。和子さんはパート勤めを辞め、うどん以外の料理を担当します。力を合わせ、店を切り盛りする夫婦の楽しい暮らしを紹介します。
時男さんが打つのは、小麦の香りと味が際立つコシのあるうどんです。麺は太めで幅は均等ではありませんが、「懐かしくておいしい」と好評です。時男さんは、1日に約30食のうどんを打ちますが、売り切れてしまうこともあります。
和子さんは、細かく切ったうどんに煮詰めた三温糖を絡めて、かりんとうを揚げます。甘い味付けのおかきからヒントを得て考えた「うどんかりんとう」です。「余ったうどんを無駄にしたくない」和子さんの思いが込められています。
和子さんは、自分の畑で野菜を育てています。野菜は主に店で使いますが、「かあちゃんの野菜」と名付けた店のコーナーで販売もしています。一袋100~200円。帰りがけに手に取る人が多いようです。
時男さんは、初めて小麦を自分で育ててみました。この地域で作られる小麦は、「さとのそら」という品種です。小麦の味と香りがしっかりとしています。地元の粉を使って打つ時男さんのうどんは、ますます美味しくなっていくはずです。