今回の舞台は、兵庫県たつの市です。主人公は「揖保乃糸」で知られるたつの市で、「そうめん処 霞亭」を営む桝本伸子さん(62歳)と夫の剛志さん(62歳)です。
「霞亭」の看板メニューは、ゆでたそうめんに熱いだし汁をかける「にゅうめん」です。甘みを感じさせる梅をのせた独特の「にゅうめん」は、伸子さんの父親が生み出しました。「霞亭」は多くの客に愛された名店でしたが、2000年に閉店。小学校の教諭だった伸子さんは、かつての常連客の復活を願う声に押され、定年退職後の2012年に「霞亭」を再開させました。剛志さんも退職後、店を手伝っています。
両親の味と想いを継いだ桝本さん夫婦の仲睦まじい暮らしを紹介します。
夏場は冷やしそうめんの注文が多くなりますが、一年を通して人気なのが「にゅうめん」です。手作りの錦糸卵やしいたけ、湯葉など、地元の食材を中心に8種類の具材がのっています。その中でも人気なのが、甘く煮た梅干しです。
伸子さんの両親が「霞亭」を営んでいたころの常連客が、今も訪ねてきます。開店当初、伸子さんは両親の味を再現できるか不安でした。今では「にゅうめん」を食べた常連客から、「懐かしい味がする」と太鼓判を押されます。
たつの市にある醤油醸造「末廣醤油」を訪ねました。そうめんのつゆ用ではなく、アイスクリームに混ぜるために醤油を仕入れます。伸子さんは、たつの市の特産である醤油とのコラボレーションを考案しました。「霞亭」では食後のデザートとして、「醤油アイス」が人気を集めています。
梅干し作りが始まりました。この日は、甘い梅干しをのせることを考案した父・凡夫さんの命日でした。凡夫さんが、たつの市の魅力を広めたいと「霞亭」を始めたのが27年前のことです。桝本さん夫婦は、両親の想いを受け継いだ店にしようと精を出しています。