今回の舞台は、埼玉県久喜市です。退職後、趣味だった野菜作りを本格的に楽しみ、夢だった引き売りを始めた亀田好次さん(66歳)と妻の峯子さん(64歳)が主人公です。
埼玉県の銀行に勤めていた好次さんは、30代半ばに自宅の近所に畑を借り、夫婦で家庭菜園を始めました。これをきっかけに野菜作りの奥深さを知りました。65歳で勤めを完全にリタイアするころには、約400坪にまで畑が拡大。2013年6月、リアカーに自家製野菜を載せて売り歩く「引き売り」を始めました。
峯子さんのことを「エリザベス」と呼び、夫婦力を合わせて野菜作りに励む亀田さん夫婦の暮らしを紹介します。
亀田さん夫婦は、年間60種類以上の野菜や果物を育てています。朝5時になると、野菜を収穫するために畑へ向かいます。この日は、玉ねぎ、レタス、フキ、ズッキーニを収穫しました。収穫した野菜を袋に詰め、朝8時には無人販売所の台に並べます。朝採れたばかりの新鮮な野菜が、お手頃価格の一袋100円で売られています。二人が育てた愛情たっぷりの野菜を求めて、多くの人が無人販売所に集まりました。
自宅に戻ると朝食です。亀田家の食卓には、オニオンスライス、ナスのしぎ焼き、具だくさんのみそ汁など自家製野菜を使った料理が並びます。畑仲間から分けてもらった生みたて卵は、ご飯にかけていただきます。手塩にかけた野菜中心の朝食を庭先で食べるのが、好次さんの楽しみです。
朝食の後、好次さんは引き売りに出掛けました。引き売りは不定期で行っています。採りたて野菜をリアカーに載せ、地下足袋にモンペ、ノラジュバン、すげ笠を身にまとい出発!毎回決まったコースを2時間かけて売り歩きます。次々と人々が好次さんの周りに集まってきました。畑へ戻るころには、リアカーいっぱいに積んでいた野菜は、ほとんど売れました。
亀田さん夫婦の畑で、収穫を感謝するパーティーが開かれました。料理を持ち寄って、仲間達が集まってきました。とても仲が良い好次さんの兄弟も訪れ、畑中に笑い声が広がっていました。
野菜作りを通して多くの仲間と交流できた好次さんは、みんなの前で思いを告げます。「妻の峯子さん、仲間、大地に感謝している。今が私の本当の人生」