舞台はのどかな里山の風景が広がる福島県郡山市西田町です。東京から西田町に移住した永井益美さん(73歳)と娘の有利子さん(45歳)が主人公です。2人は古民家を利用しておしゃれなイタリア料理のレストランを営んでいます。
保険会社に勤めていた益美さんは、定年が迫ったころ、“イタリアで料理勉強”と“田舎暮らし”の2つの夢を抱きました。63歳でイタリア留学の夢を実現し、一年間料理を学びました。帰国後、もうひとつの夢に挑戦します。西田町の古民家に移住し、野菜栽培など“田舎暮らし”を楽しむことができました。有利子さんもこの家が気に入り、同居生活が始まりました。2009年9月、イタリア料理の技と自家製の野菜を生かした店、「菜園レストラン el TAPADO(エル・タパド)」をオープンしました。また農業体験が出来る農家民宿も始めました。
念願の田舎暮らしを満喫しながら、温かな地元の方々に支えられレストランを営む永井さん母娘の暮らしを紹介します。
「菜園レストラン el TAPADO」の自家菜園では、ジャガイモやタマネギ、絹サヤ、ソラマメなどの野菜の他に、イタリア料理に欠かせないハーブも育てています。和の食材も生かしながら作る緑のスープ、「ズッパ・ヴェルデ」はイタリアの“マンマの味”です。ホームステイ先の女性から学んだスープです。
益美さんは今年から体力作りのために地元のグラウンドゴルフクラブに入会しました。週2回、仲間と一緒に汗を流してグラウンドゴルフを楽しんでいます。この日は地元の名物おじいちゃん、石井守治さんが飛び入りで参加しました。なんと御年100歳!力強いフォームから正確にコントロールされた球を打ち出します。年齢に関係なく地元の方々と交流の輪が広がっています。
永井さん母娘は西田町に移住してから畑作業を始めました。まだまだ勉強中です。野菜作りで頼りにしているのが近所の方々です。野菜作りの基礎を教えてもらい、レストランで使う野菜をいただくこともあります。西田町のたくさんの畑が「el TAPADO」の菜園となり、益美さんの手によっておいしいイタリア料理へと変身するのです。
いつも野菜を分けてくれる本田満子さんと渡辺悦子さんを自宅に招待しました。ふたりのために自家菜園で収穫したばかりのソラマメを使った新作のパスタを作りました。渡辺悦子さんはこの古民家にかつて住んでいました。古くなった思い出の家を修復し、よみがえらせた益美さんと有利子さんに「拝むくらいだ」と感謝しています。