今回の舞台は長崎県東彼杵郡波佐見町です。去年2月、惣菜加工所を始めた柿本公子さん(55歳)と夫の廣海さん(60歳)が主人公です。
公子さんは24歳の時、畜産農家だった廣海さんと結婚。家畜の世話と子育てで多忙な日々を過ごしました。10年前、畜産会社から300頭の牛を預かり育てていましたが、その会社が経営破たん。3年前に全ての牛を手放し、生活の糧を失ってしまいました。窮地に陥った柿本さん夫婦は、プラス思考で地元を元気にする場所を作ろうと決意しました。そして2013年2月、惣菜加工所「ファームガーデン野の風」をオープンしました。
地域の人に支えられながら新しい風を巻き起こそうと、日々忙しく奮闘する柿本さん夫婦の暮らしを紹介します。
山肌を駆け上がる風に運ばれてくる甘い香り。加工所のすぐ近くで公子さんは「ダマスクローズ」という品種のバラを栽培しています。「野の風」では、季節を待ってつぼみを収穫し、天ぷらにしたものを弁当に添えて提供しています。バラの天ぷらは色鮮やかで、口いっぱいにバラの香りが広がります。
廣海さんは自宅で波佐見焼の梱包をしています。「野の風」での担当は“商品開発”と“味見”です。調理に関しては公子さんに任せています。早朝から働き通しの公子さんをねぎらい、納品に行くときは運転手を務めます。普段は言い争うこともある2人ですが、夫婦互いに支え合っています。
「野の風」で使われている野菜は、ほとんどが地元で採れたものです。どんな天候でも畑作業を休まない農家の梅澤さんや、アスパラガスを育てている山下さんから新鮮な野菜をたくさんいただきました。公子さんは近所の畑を見て回り、「何か食べられるものはないだろうか」といつも目を光らせているそうです。近所の畑は「野の風」の冷蔵庫代わりになっています。
地元に古くから伝わるチマキの作り方を教わるため、“チマキの師匠”田﨑さんと中川さんを招きました。“師匠”に巻き方を教えてもらいましたが、隙間から米がポロポロとこぼれてしまいました。失敗を繰り返しながら、大小様々なチマキが完成しました!