舞台は高知県黒潮町です。大阪から移住し、田舎暮らしを始めた石川公英さん(64歳)と妻の左由利さん(55歳)が主人公です。
ともに離婚を経験した二人は2004年、お互いの飼い犬が縁で知り合い再婚。かねてから田舎暮らしに憧れていた公英さんは、病気をきっかけに勤めを辞め、黒潮町に移住しました。その4年後、次男が「家族と一緒に黒潮町で暮らしたい」と移住を希望。しかし、黒潮町での就職にあてがなく、夫婦は次男の考えた焼きドーナツ店に挑戦することにしました。公英さんは開店準備に取り掛かり、2010年、焼きドーナツの店「ビー・リング」をオープン。当初は赤字が続きましたが、ようやく経営は軌道に乗りました。去年の夏には次男の家族が移住し、店を引き継ぐことになりました。
幸せの輪が親から子どもへ、そして子どもから孫へと広がる石川さん夫婦の田舎暮らしを紹介します。
「ビー・リング」のドーナツは、油で揚げず、ふんわりと焼き上げます。ゆずや黒糖など地元の特産品を使ったドーナツや、くじ付きのスティックドーナツなどバラエティーに富んだ26種類のドーナツが店内に並びます。
現在は次男の昌弘さん夫婦が店を切り盛りしていますが、店が忙しい時には石川さん夫婦もサポートします。
石川さん夫婦の一日は、散歩から始まります。移住したときから親交のある知り合いを訪ね、青々と育ったほうれん草をたくさん分けてもらいました。
自宅には自慢の庭があります。バラの開花に向けて、二人は庭の手入れをします。5月になるとバラに囲まれ、ガーデンパーティーを開くのが楽しみです。
石川さん夫婦は、黒潮町へ移住を希望する人たちのため、ボランティアで受け入れ準備の手伝いをしています。移住者が住む予定の空き家の掃除をします。気持ちよく暮らせるように、移住仲間と一緒に部屋や庭を綺麗にします。公英さんはこれからも移住希望者のため、空き家を見つけることから手伝っていきたいと考えています。
夜、石川家はにぎやかな笑い声に包まれました。三世代そろっての夕食です。夫婦は長男・大吾さんの結婚祝いのために皿鉢料理を用意しました。大吾さんは、黒潮町に移住してから、妻となる歩さんと知り合い、結婚しました。
夫婦二人で始めた黒潮町での暮らし。夫婦のもとには長男、次男家族が集まり、家族の輪が広がりました。