“舟屋の里”で知られる京都府伊根町が舞台。2年前、伊根町に移り住んだ高橋貴誠(たかなり)さん(51歳)と妻の直美さん(43歳)が主人公です。
以前から「きれいな海のそばに住みたい」と考えていた貴誠さんは、38歳の時に退職。直美さんと一緒に移住先を求めて、海外13カ所、国内8カ所を巡り、見つけたのが伊根町でした。“ゆったりと流れる時の流れ”に魅力を感じ、2011年9月、空き家を借り移住しました。移住と同時に、趣味だった干しナマコや干しアワビ作りを本格的に取り組もうと、町の支援を受け干物の製造販売所「来福(LIFE)水産」を開業しました。地元の人に支えられながら、伊根の時の流れに身を任せ、充実した日々を過ごす高橋さん夫婦を紹介します。
伊根町に移り住み、本格的に始めた干しアワビと干しナマコ作り。地元でとれたアワビやナマコを使い、夫婦2人で加工します。商品になるまでは約2〜3カ月。長い時間干すことでうま味が凝縮され、柔らかくなってきます。一見すると微妙な形のナマコですが、次第に愛着がわき可愛く見えてくるそうです。だから高橋さん夫婦は、手間暇をかけ1つ1つ愛情を込めながら干しナマコを作ります。
貴誠さんは高校を卒業後、アメリカとメキシコに4年間留学しました。その経験を生かして、海外からの旅行者を無料で自宅に受け入れる「カウチサーフィン」という活動を行っています。この日はマイアミから来たスティーブンさんを受け入れました。直美さんは英語が苦手ですが、ジェスチャーと持ち前の笑顔でコミュニケーションをとっています。
近所の方々を招いて食事会を開きました。ブリ大根にマグロの刺身、そして日本酒…みんなが持ち寄りました。高橋さん夫婦は干しナマコの中華饅や、フカヒレ・干しアワビ・干しナマコが入ったぜいたくな鍋を用意しました。初めてナマコを食べたスティーブンさんは、「美味しい」と喜んでいました。国を超えた交流が生まれています。
高橋さん夫婦が伊根町で新たに見つけた夢。ふたりを温かく迎え入れてくれた伊根町のために何かできないかと考え、昼はカフェ、夜は居酒屋になる店を始めることにしました。人が集う店になれたら…それがふたりの夢です。週末は仲間が担当するそば店に変わる「シェアショップ なぎさ」開店に向け、準備をしています。