舞台は石川県金沢市。歴史ある町並みが残る茶屋街で、押し寿司体験の店を始めた周田まゆみさん(51歳)と、一緒に店を盛り上げる7人のお母さんたちのお話です。金沢市周辺では昔から、祭りや祝い事の際に、各家庭で押し寿司を作り食べる文化があります。その押し寿司が、最近ではあまり作られなくなったことを実感していたまゆみさんは、金沢の食文化を残したいと考えていました。そこで客がオリジナルの押し寿司を体験できる「押寿し体験厨房 金澤寿し」を今年の春にオープンしました。「金澤寿し」では地元のお母さんたちが講師になって、若者や観光客たちに押し寿司文化を伝えています。茶屋街で押し寿司体験を始めたまゆみさんと、その仲間たちの活動を紹介します。
1820年から続き、今でも茶屋が残る「ひがし茶屋街」は金沢市でも人気の観光名所です。そんな「ひがし茶屋街」のメインストリートから少しそれた道に、まゆみさんたちが営んでいる「金澤寿し」はあります。
まゆみさんを含めた8人のお母さんと、ランチを調理する板前さんの計9人で「金澤寿し」は切り盛りされています。お母さんたちが、接客をしながら教えてくれる金沢の知識も、「金澤寿し」ならではのおもてなしです。
まゆみさんたちが考えた押し寿司を作る「金澤寿し体験」。金沢に昔からある、押し寿司の文化を多くの人に知って欲しいと始めました。若者や観光客でも簡単に作れるようにと、スタッフで考えた独自のアレンジを加えています。具材を乗せて出来上がる押し寿司は、食べるのがもったいないほど色鮮やかです。
「金澤寿し」に24人の団体客が訪れ、押し寿司を体験しました。まさにすし詰め状態の店内を、行ったり来たりしながらまゆみさんたちは指導しました。皆さんの明るい笑顔が、押し寿司の出来栄えを表しています。
「金澤寿し」のお母さん8人と、まゆみさんの夫・重孝さんで「フグの卵巣の糠漬け」の加工場を訪れました。塩漬けや糠漬けなど、加工にかかる手間暇や詳しい歴史を学び、この日に得た知識をお客さんに伝えたいとまゆみさんたちは考えています。