舞台は、「水の都」愛媛県西条市。この地で、甘味処を始めた浅木登さん(64歳)と妻のやえこさん(55歳)が主人公です。
登さんは57歳の時、父の介護のために早期退職し、西条市へUターンしました。父と過ごす時間を大切にしながら、何が出来るだろうか―思いついたのが、自宅で開く甘味処でした。そして2009年、納屋を改装し、『甘味処すだち』をオープンしました。故郷へ帰り、優しさあふれる甘味処を始めた仲良し夫婦を紹介します。
『甘味処すだち』の自慢は、やえこさん特製、つぶつぶ感の残る小豆と大きな白玉です。『甘味処すだち』の甘味は、さっぱりしていて食べやすいと大好評です。小さい子どもから大人まで、幅広い年齢層の方々が甘味を味わっています。
食事を終えると、浅木さん夫婦が会話に加わります。温かいご夫婦の人柄に触れ、思わず泣いてしまったお客さんもいました。甘味も店も、優しさがあふれています。
『甘味処すだち』は自宅横にあった納屋を改装し、オープンしました。この納屋は、大正初期に建てられたもので、店内には、建築当時で樹齢100年ほどだった、趣のある木のはりが残っています。
そして、店のインテリアとして、登さんの父・近三郎さんとの思い出の品々が並んでいます。近三郎さんの名前が刻まれた農具もあります。近三郎さんは『甘味処すだち』が出来たことを、とても喜んでいたそうです。
この日、ご夫婦は介護施設『ふたばの森』を訪ねました。オカリナを吹くやえこさんとギターを弾く登さんが、音楽好きの仲間たちと始めた『風の楽団』の演奏会です。日頃、生の音楽に触れる機会の少ない方々のために、ボランティアで開いています。
登さんの父親が亡くなった後も、やえこさんには辛い出来事が立て続けに起きました。そんなやえこさんの心を癒やしたのが、オカリナでした。今では、やえこさんが吹くオカリナの音色が、たくさんの人の心を癒やしています。
ご夫婦が参加している『竹林をよくする会』では、西条市にある放置竹林の整備をしています。枝の落とし方などを学び、懸命に活動する姿を見ている先輩方からも、ご夫婦はとても信頼されています。
そして、恒例の流しそうめんイベントも行いました。子どもたちと一緒に竹を切って食器を作り、20メートルを超える流しそうめんを楽しみます。「大阪のビルの間では、こんなことは出来なかった」―ご夫婦は、自然豊かな西条市での暮らしを楽しんでいます。