千葉県いすみ市で手作りパンの店を始めた吉田一さん(66歳)と妻の信子さん(66歳)が主人公です。以前、一さんは川崎市で設計士をしていました。当時は仕事が多忙だったため、家族との会話らしい会話は、ほとんどありませんでした。そして60歳を機にのんびりと田舎暮らしをするために、いすみ市に夫婦で移住しました。移住後、夫婦の会話を増やそうと、一さんが挑戦したのはパン作りでした。信子さんの趣味がパン作りだったからです。2012年9月、『パン工房あん里山』をオープン。午前10時の開店に向けて、朝3時から夫婦二人でパンを作り始めます。夫婦の会話は以前に比べると弾むようになりました。一さんが夫婦仲改善に尽力する理由…それは若き日、信子さんに「絶対に幸せにします」と誓ったからでした。
「パン工房 あん里山」のパンは、地元の仲間たちと一緒に栽培した小麦粉を使い、更に隠し味として古代米の一種である黒米の粉をまぜています。黒米にすると、ふんわりモチモチとした食感のパンが焼きあがります。他にもクールブレッドやおはぎが入ったパンなど独創的なパン作りにもチャレンジしています。