舞台は雄大な阿蘇外輪山を望む、熊本県西原村。この村で3年前、自宅の母屋と納屋を利用して「農家民宿ひろせ」を始めた廣P純一さん(59歳)と、妻の寿美子さん(60歳)が主人公です。
純一さんは西原村で生まれ育ち、牧場に就職しました。若者が町へ出て行くことを寂しく感じ、仲間と飲み会の度に、どうすれば故郷を活気づけられるか話し合っていました。そこで出たアイデアが、農家民宿を始めて村に人を呼ぶこと。その仲間が、近所の坂本さんと東さんでした。そしてこの3組の夫婦が立ち上がり2010年6月、それぞれの持ち味を生かした3軒の農家民宿を同時にオープンさせたのです。
家業の農業を引き継ぎ、自宅を開放して始めた民宿。自慢の故郷を元気にしたいとスタートさせた新たな人生は、宿泊客と共に楽しむ日々。廣Pさん夫婦の生きがいにもなりました!
宿泊客が滞在するのは廣P家の築140年の母屋です。4部屋ある家、丸ごと一軒貸し切りです。また、純一さんと寿美子さんが考えた、農家ならではの体験もいっぱい!一緒に畑へ行き、旬の野菜を収穫し、採りたてのトマトやキュウリをガブリ!そんな何気ない農家の日常を体験して楽しんでもらうことが純一さんの喜びです。
廣Pさん夫婦と同時に農家民宿をオープンした仲間、坂本さんと東さん。東さん夫婦が営む「農家民宿うえん木戸」の自慢は“水”です。湧き水が敷地に流れ込んでいて、そこで水遊びをしたり、五右衛門風呂に入ったりすることができます。もう一軒が坂本さん夫婦の「農家民宿たわら山」。こちらは、鶏や可愛いウサギがいる、動物との触れ合いが人気の宿です。この三軒の農家民宿が協力し、村の活性化のために頑張っているんです。
廣Pさん夫婦と同居している長男、勇也さんはホテルのレストランの料理長をしています。この日は休日だったので台所に立ち、自慢の料理を作りました。さすがプロフェッショナル。オクラやトマトを使ったフレンチ風の料理に、寿美子さんの目は釘付けです。
勇也さんはこの日のように、母・寿美子さんのためにさりげなく料理を教えてくれることがあります。慣れない仕事を始めて頑張る両親を、温かく応援しています。
3組の夫婦が集まって始まった宴会。廣P家、東家、坂本家、3軒の農家民宿が同時にオープンしてちょうど3年の記念パーティーです。思えば、農家民宿を始めるというアイデアも、こうして酒盛りの場で生まれました。皆さん改めて、「農家民宿でお客さんと触れ合いながら楽しんでいる」、「故郷はやっぱりいい!」と語り合いました。