広大な湿原を有する北海道阿寒郡鶴居村。この村でシベリア原産の野菜『ルバーブ』を使ったジャムを作る岩脇乃富さん(51歳)と、母の渡辺敬子さん(77歳)が主人公です。
東京で家族と暮らしていた乃富さんは、釧路市在住の両親が年を重ねてきたことを心配し、度々帰省するようになりました。そんな時、別荘があった鶴居村で過ごすことがありました。そして知人の家でルバーブと出会い、「ジャムに出来る」と教わった乃富さんは、試しにジャムを作ってみました。するとさわやかな酸味を持つおいしいジャムが出来ました。その味に感動した敬子さんは、鶴居村の名産品として商品化しようと考えました。2010年にルバーブジャムの加工所『手作り工房TANTAN』が完成。乃富さんは鶴居村に居を移し、敬子さんの応援を受けながらジャム作りを始めました。
“鶴居村といえばルバーブジャム―と言われるような名産品にしたい!”そんな夢を抱きながら、ジャム作りに励む母娘を紹介します。
乃富さんがルバーブを収穫してきました。茎の部分を食するルバーブは、緑色と赤いものがあります。味は変わりませんが、そのままではとっても酸っぱい!古くから欧米では、その酸味を生かしてジャムやパイに使われてきました。乃富さんは、広大な畑で300株のルバーブを育て、畑の横に構えた加工所でジャムを作っています。ルバーブの茎を短く切り、砂糖とハチミツを加え、丁寧にアクを取りながら煮込みます。完成したジャムを瓶詰めした後は、母の敬子さんが最終チェックします。娘に対しては辛口の敬子さん。色合いや固さなどを一つ一つ確認します。こうしてふたりはおいしいジャムを作ろうと日々奮闘しています。
乃富さんには協力者がたくさんいます。農業の経験がまったくない乃富さんに、ルバーブの育て方を教えてくれたのは近所の長谷川清さんです。畑にある大量のルバーブは、長谷川さんに教えてもらったおかげで育ちました。今でも長谷川さんは、暇さえあれば畑作業を手伝ってくれます。
またジャムのラベルを作ってくれるのは、いとこの渋田智弘さんです。パソコンが得意な渋田さんは、“TANTANの看板娘”乃富さんの顔写真入りチラシも作成しました。乃富さんのルバーブジャムには、地元の人たちの愛情がいっぱい詰まっています。
畑で乃富さんと敬子さんが、真剣な表情をしています。色鮮やかな真っ赤なジャムを作りたいと、茎が赤いルバーブを探しています。しかし、ただでさえ広い畑に、乃富さんは肉体労働が苦手…。そんなとき頼もしい助っ人が現れました。同級生の増永雄二さんです。畑に来るなり、猛スピードでルバーブを収穫します。あっという間にたくさんの赤いルバーブが集まりました。
乃富さんは、より赤い茎を使ってジャムに加工します。完成したジャムは、今までで一番というぐらいに綺麗で真っ赤になりました!これからはこの赤いルバーブジャムを看板商品にして勝負です!
敬子さんの鶴居村での楽しみは、山菜採りです。山菜に詳しい老人会の皆さんと、山菜採りにやってきました。見分け方や採り方を教わりながら、ウドや行者にんにく、フキ、ぜんまいなど、たくさんの山菜を収穫しました。この日は乃富さんと一緒に山菜を料理しました。ウドと行者にんにくの天ぷらや、フキの炒め煮など、この時期にしか味わえないぜいたくなお昼ご飯です。
美容院を経営し多忙だった敬子さんは、乃富さんが幼いころ、一緒に過ごす時間がとれなかったそうです。今、時を取り戻すように、母娘の時間を楽しんでいます。
ある日、工房で乃富さんがお菓子作りを始めました。赤いルバーブジャムを広めるため、新商品のスイーツを試作します。ルバーブジャムをまるまる一瓶と、生クリームを使ったロールケーキです。乃富さんは、生クリームをたっぷり入れすぎたため、スポンジが破れてしまいました。翌朝、一から作り直して、赤いジャムの色が映えるロールケーキを完成させました。
ふたりが新作ケーキを持って訪れたのは、ゲートボールを楽しむ老人会の皆さんの所。味見してもらうと、大好評!手作り工房TANTANの新しい商品として、秋には登場する予定です!