今回の舞台は岡山県倉敷市です。倉敷市の南に位置する児島地区の小高い丘にカフェ『ヒュッテ』を開いた野田淑子さん(62歳)と、夫の吉紀さん(66歳)が主人公です。
『ヒュッテ』の魅力は、窓から町を一望できる眺めと、食器から家具、内装まで全てが手作りの店内。そして料理上手な淑子さんが作る野菜がたっぷり入ったヘルシーランチです。以前にも、この町には『ヒュッテ』という店がありました。それは淑子さんの父・昌幸さんが開いたパブでした。「安くてお腹いっぱいになる」料理と昌幸さんの人柄で連日にぎわっていました。パブが閉店して20年。淑子さんは亡き父の思いを引き継ぎ、去年11月に『ヒュッテ』を再開しました。
店のスタイルは変わりましたが“お客様とのつながりを大切にする”気持ちは同じ。家族や仲間に支えられ、きょうも大勢のお客様を迎えます。
20代の頃から料理学校に通っていた淑子さん。カフェ『ヒュッテ』はその自慢の料理をのんびり楽しんでもらおうと、ランチ営業にしました。この日のメニューは「ロール白菜の生姜あんかけ」「人参のキッシュ」「アボカドを挟んだあぶり鮭」など。各国の料理にひと工夫加えた品々が味わえると大好評です。
『ヒュッテ』は備前焼窯元『鷲羽窯』の敷地内にあります。店は全て手づくり。場所を貸してくれた陶芸家の尾鷲さんご家族は、壁の石積みから屋根張りまで、一緒に店作りをしてくれました。そして家具や焼き物の食器など、店内の装飾品を手がけたのが、淑子さんの長女・裕子さんと、裕子さんの夫 ドン・パーカーさん。アーティストとして活動を続ける二人は、店内どこを見渡しても楽しめる工夫を凝らしました。みんなで協力し楽しみながら完成させた『ヒュッテ』。イメージ以上の店が出来たと淑子さんは大喜びです。
淑子さんが吉紀さんと訪れたのは「岡山市サウスヴィレッジ」。『ヒュッテ』の料理で使う食材の買い出しにやってきました。珍しい野菜を前に目を輝かせる淑子さん。吉紀さんの担当は荷物持ちです。野菜でいっぱいになったカゴを両手に持ち、淑子さんの後を追いかけます。淑子さんの夢だった『ヒュッテ』を、吉紀さんはいつも応援しています。
カフェ『ヒュッテ』には、父・昌幸さん時代の店に通っていた常連客もいらっしゃいます。昔も今も、『ヒュッテ』は心が落ち着いて、おしゃべりと食事が楽しめる場所だと皆さんは言います。「父の様に、お客様とのつながりを大切にしたい」。店の場所も料理も変わりましたが、淑子さんは昌幸さんの思いをしっかり受け継いでいます。