埼玉県狭山市が舞台。主人公は、伊藤勝彦さん(62歳)とかめよさん(62歳)ご夫婦です。お二人は、2008年に手作り堆肥で野菜やハーブを育てる『オベリスク実験農園』を始めました。“オベリスク”とは、地域の中心に立つ記念碑のこと。手作り堆肥は、牛ふんをベースに米ぬかやオカラなどを混ぜ合わせます。その堆肥の効果を試すために育て始めた野菜はおいしいと評判です。56歳で大学事務職を定年退職した勝彦さん。のんびり暮らそうと思っていた矢先に、堆肥作りを思い立ち農園を始めました。良質の堆肥を作ることが目標となり、生きがいとなったお二人。そんなご夫婦の二人三脚で歩む日々を紹介します。
畑の広さはおよそ1,000坪。手作り堆肥を使って、年間50種類以上の野菜とおよそ100種類のハーブを栽培しています。農園は堆肥の効果を試す実験の場。野菜の作付け時期をわざとずらしたり、連作したりするなど、堆肥の効果を試しています。いつも仲良く作業するご夫婦。新たな発見や喜びを分かち合えることが何より楽しいそうです。
この日は米ぬかを混ぜて堆肥を作ります。手伝いに来てくれたのは近藤奈保美さん。大学時代に醸造学を学び、発酵する堆肥に興味津々です。堆肥は4日に1度、2時間かけてかき混ぜなければならない重労働。この作業を2カ月間続け、商品になるのはさらに3カ月先になります。時間と手間をかけて作った堆肥には、ご夫婦の夢や希望が詰まっています。
普段は母の時枝さんと3人で囲む食卓ですが、この日は、東京に住む長男・千尋さんと狭山市内で暮らす長女・彩さんも一緒です。お二人が農園を始めてから、実家に帰ってくる回数が増えたという子どもたち。千尋さんは、野菜だけでなくハーブも栽培しようと両親に提案し、毎週帰ってくるようになったそうです。家族団らんの時間が増え、ご夫婦も嬉しそうです。
「オベリスク農園」、年に一度の感謝祭。農園でとれた野菜と手作り堆肥を特別価格で販売します。長男・千尋さんは友人たちを誘い、サツマイモ掘りを体験してもらいました。ご両親の思いを多くの人に理解してほしいと考えています。ご夫婦自慢の堆肥は、多くの人が購入してくれました。地域の中心を担いたいと始めた農園。お二人の目標に向かって一歩ずつ前進しています。