三重県大紀町が舞台。生まれ育った大紀町にUターンし、体験型農家民宿「大紀町日本一のふるさと村」を始めた瀬古悦生さん(63歳)と妻の由起子さん(65歳)が主人公です。
故郷を離れ、名古屋で郵便局員として働いていた悦生さん。実家で暮らす父が亡くなり、母も介護が必要になったことで、57歳で早期退職し大紀町に帰郷しました。40年ぶりに戻ると故郷は高齢化と過疎化が進み、悦生さんはその姿に心を痛めました。そこで大紀町の力になりたいと由起子さんに相談。自宅を改装して体験型農家民宿を開く決意をします。そして、2010年6月「大紀町日本一のふるさと村」をオープン。地域の仲間と力を合わせ、故郷を元気にしようと努める瀬古さんご夫婦を紹介します。
体験型農家民宿「大紀町日本一のふるさと村」の自慢は、かまどを使ったご飯炊き体験。初体験のお客様が多いので、悦生さんが炊きあがりまで付きっ切りで教えてくれます。かまどで炊いたお米は、「涙が出るほど美味しい」と悦生さんも太鼓判です。
この日は、歌声サークルの16人が「大紀町日本一のふるさと村」を訪れました。栗拾いなどを体験し、合唱の練習を始めます。響き渡る歌声に、何事かと集まってきたご近所さんも参加し、全員で「紅葉」を歌いました。多くの宿泊客が「ふるさと村」に来ることが地域の活力になると考える瀬古さんご夫婦。その思いは少しずつ実現しています。
瀬古さんご夫婦は、週に1度行われる朝市に、かまど炊きごはんを使ったパンを卸しています。家庭用のパン焼き機10台を使い、前日の夜から徹夜でパンを焼き上げます。故郷の新たな名物になるようにと、瀬古さんご夫婦はパン作りに一生懸命です。
時間がある時はぶらりと訪れて欲しいと「ふるさと村」には「えんがわサロン」を設けています。この日は、月に2回開かれる絵手紙教室です。地元のおばあさんたちが集まり、絵手紙作りとおしゃべりを楽しんでいます。希望すれば、ここで夕食を食べることもできます。夕食を共にすることで、一人暮らしの高齢者の負担を少しでも減らしたいと、由起子さんは考えています。
ある蔵を壊す時に出てきた、20セットの本膳。郷土の伝統を残したいと考える瀬古さんが譲り受け、由起子さんを含めた地元の有志たちが立ち上がりました。大先輩の主婦たちの記憶を頼りに、長らく絶えていた本膳料理を再現しました。今後は多くの人たちに本膳料理を知ってもらえるように瀬古さんご夫婦は頑張ります。