舞台は田園風景が広がる宮城県大崎市。その田園風景の中に日曜日だけ営業するそば屋があります。主人公・鳥山幹男さん(57歳)が自宅で始めた「そば とり山」。妻の妙子さん(58歳)も自慢の料理を作りお店を手伝います。
会社員時代、食べ歩きをしているうちにそばの魅力にハマっていった幹男さん。やがてそば打ちも習得し、「いつか店を開きたい」と思い始めます。8年前、両親の介護のために会社を退職し、実家に戻りました。そして自宅を改装し、「そば とり山」をオープンさせたのは2007年のことでした。
現在、妻の妙子さんが会社勤めをしているため営業は日曜限定。いずれは毎日のように店を開けたいと夢見て奮闘中です!
幹男さんが目指すのは、細切りでコシがあり、香りがすっと鼻に抜けるようなそば。そのため本場・会津のそば粉を使い、そば粉とつなぎが10:1の割合の「十一(といち)そば」にこだわっています。また、料理上手な妻の妙子さんが自家製の野菜を使って作るアイデアメニューも絶品。日曜限定の知る人ぞ知る店ですが、その評判はクチコミで広まっています。
日曜だけ玄関に暖簾がかかる「そば とり山」。実は入口に看板があるのに、何の文字も入っていません。そば打ちにこだわる幹男さんは「自分の腕はまだまだ」と思っているようです。開店から5年経った今も看板を掲げないまま。手作りの箸袋でいつも幹男さんを応援してくれる幼馴染、青木史朗さんも、これには呆れて一言「それならそば屋やらなきゃよかったのに!」
幹男さんはとっても真面目で慎重なんです。
真面目にそば屋を営む幹男さんを応援してくれるのが、ご近所の皆さん。造園業を営む佐藤誠幸さんは、食材を分けてくれます。
それは、手間暇かけてしぼるハチミツ。佐藤さんは趣味で養蜂をしているんです。この日、佐藤さんとハチミツ採取体験をした幹男さん。巣から採ったしぼりたてのハチミツは、本当に美味しさが違うんです。これを是非、お客さんにも味わってもらいたいと、そば屋のデザートに使わせてもらっています。
去年の東日本大震災で、鳥山家も大きな被害を受けました。実はその後9カ月の間、店も休業していたんです。だから日々練習を重ねてそば打ちの腕を上げたいと頑張っている幹男さん。
そんな幹男さんを応援し、しょっちゅう鳥山家にやってくるご近所さんたちは、まるで家族のような存在です。
震災で電気も水道も止まって大変な時も、みんなで助けあいました。そんな経験が強いつながりを生んだそうです。
福島県磐梯町のそば屋「磐梯そば道場」は、幹男さんの師匠・長谷川吉勝さんがいるお店です。改めて自分のそば打ちの腕前を見てもらおうと師匠のもとを訪ねた幹男さん。緊張しながらそば打ちを披露したところ、師匠から「腕が上がった」とお褒めの言葉!さらに腕を上げたいと願う幹男さんに、師匠は「そば打ちは楽しくやらないと進歩しない」とアドバイスをくれました。
この言葉を胸に刻み、新たな一歩を踏み出します。
夕暮れ時、鳥山家に集まったご近所の皆さん。この日ついに、店の看板に店の名前を入れることになったんです。みんなの後押しや、師匠の言葉を受け、看板を掲げる決心をした幹男さん。
皆で文字を入れ、幹男さんと妙子さんの新たな一歩を喜び合いました。いずれは毎日のようにそば屋を営業したいと夢見るお二人。
夫婦仲良く、これからも頑張って下さいね!